「クールジャパン」なんて手垢が染みついた旗を掲げ、政府が日本文化輸出に力を入れている。ところがネット上では、すでに円安の流れに乗ってオタク外国人から外貨を稼ぐ「個人輸出家」たちが存在する。
その舞台となっているのが、通販サイト「Amazon」だ。実際に個人輸出を手がける人からは「月商100万円もそう難しくない」との声も聞かれる。
2000円のマウスパッドが2万円に
そのからくりは、海外と日本の「オタク市場格差」にある。
漫画やアニメなどの日本発オタク文化は、海外でも人気が高い。ところが、単行本やBD・DVDならともかく、フィギュアなどのグッズともなると日本では簡単に手に入るようなアイテムでも、海外ではかなり入手困難な、大枚をはたいても惜しくない「レア物」――というケースはかなり多い。
日本のオタクグッズがいかに高騰しているか、米国のAmazonに実際に出品されている商品から実例を見てみよう。たとえば、2012年12月に発売されたゲーム「ファイアーエムブレム 覚醒」の設定資料集だ。同書は4月現在、日本のAmazonなどでも定価の3990円で購入できるが、米国Amazonでの出品は最も安いもので78.83ドル(約7800円)と倍近い。
ほかでは、アニメ化もされた小説「Fate/Zero」のキーホルダーが目を引く。日本では630円で販売されているが、こちらは78.11ドル(7700円)と10倍以上の値に。
極め付けは漫画「FAIRY TAIL」のいわゆる「おっぱいマウスパッド」で、こちらは元値1890円に対し、あるショップがつけた価格はなんと214.99ドル(2万1000円)。あくまで出品者側が付けた値段で、そのまま売れる保証はないとはいえ、海外オタクがいかに日本グッズに飢えているかをうかがわせる。
利益率は15~20%といったところ
さて、こうした商品の出品者を見ると、ちらほら日本の個人、あるいは小規模な業者らしき名前が目に留まる。『月に100万稼げるAmazon輸出入門』(日本実業出版社)の著書があり、「A塾 Amazon輸出の個別サポート」主宰の山村淳さんも、個人輸出にAmazonを利用する動きは近年目立って増えていると語る。
Amazonを利用するメリットとして山村さんは、
(1)出品が容易であること
(2)日本からの出品者が(増えたとはいえ)まだ少なく、優位に立ちやすいこと
(3)他サービスと比べ、ビギナーでも出品に関する制限がゆるいこと
などを挙げる。特に強力なのは出品の容易さで、事実上「在庫」をほとんど抱えないままでも(規約上「無在庫」は禁止されているが)、多数の商品を世界中に開かれたAmazonという場に陳列できる上、オークションサイトなどとは違い購入者とのやりとりをほとんどする必要がない。
利用には手続きや銀行口座の確保などいくつかのハードルがあるが、最近では代行業者や専用ツールも登場しており、「海外では売っていない日本製品」であればオタクグッズに限らず、時計やカメラなどの電化製品、また伝統製品なども狙い目になるとか。
「売れ筋のリサーチは欠かせませんが、やり方次第で月商100万円はそう難しくありません。利益率は15~20%といったところでしょうか。円安ということもあって販売も好調で、ますますチャンスは高まっています」(山村さん)