キム・ヨナ採点疑惑を書いたフリーライター 事務所が提訴検討と韓国で報じられる

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   フィギュアスケートのキム・ヨナ選手(22)には、高得点を挙げた採点の仕方に疑惑がある――。こう著書で書いた札幌市在住のフリーライターに対し、キム・ヨナ事務所が提訴を検討していると韓国メディアに報じられている。ライター側はブログで、提訴を受け入れると言っている。

   キム・ヨナ選手は、2010年のバンクーバー五輪で220点以上の世界最高得点で金メダルを獲得した。こうした高得点ぶりについて、ライターの猫宮黒埜(くろの)さんは、13年3月15日に自費出版した著書「フィギュアスケート 疑惑の高得点」(東京図書出版刊)で問題提起した。

韓国紙、「人身攻撃に近い」と批判

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   著書ではまず、高得点の背景には、国際スケート連盟の幹部が、スケートを興行化したい思惑があったとした。そこで、出来映え点を重要視して、易しい演技でも得点が伸びるようにし、連続3回転ジャンプなどが得意なキム・ヨナさんには有利になった。

   一方、日本の浅田真央選手(22)は、トリプルアクセルといった高難度の技を得意としたが、競技志向だったためスケート連盟からは距離を置かれたという。ジャンプの回転不足などを厳格化されて、不振が続き、五輪本番でも得点が伸びなかったとした。

   さらに、韓国もスケート連盟の幹部にロビー活動をして採点を有利にさせ、韓国の審判もキム・ヨナびいきの言動をするなどしたと書いている。

   これに対し、複数の韓国メディアは4月9日、キム・ヨナ選手の事務所「オール・ザッツ・スポーツ」が著書の内容が名誉毀損に当たるとして、損害賠償などを求めて提訴することを検討していると報じた。

   韓国の日刊新聞「国民日報」は、著書について、「人身攻撃に近い」と批判し、日本のネット上でキム・ヨナと検索すると「買収」「八百長」と関連ワードが出ると憂慮した。そして、事務所副社長が「キム・ヨナを罵倒している内容も問題だが、ややもすると誤った内容が日本国民の間に受け入れられる恐れがある」とコメントしたと紹介している。

ライター「疑問はっきりし、喜ばしい」

   事務所提訴の動きについては、著者の猫宮黒埜さんも、日本の一部メディア報道で知ったとツイッターなどで明かし、2013年4月9日のブログ記事で提訴も受け入れる意向を明らかにした。

   記事では、裁判になれば、ブログでそのやりとりを報告するので、採点への疑問がはっきりすると主張した。そして、国際スケート連盟も慎重にならざるを得ず、次のソチ五輪では真っ当な採点になる可能性があるとして、「喜ばしいことです」とした。また、「フィギュアスケートの採点問題を無視していた日本のメディアも取り上げないわけにはいかないでしょう」とも言っている。

   猫宮さんによると、今回の著書は、「ときどき黒猫」のハンドルネームで書いたブログをベースにまとめたものだという。

   東京図書出版の編集長は、取材に対し、提訴について「何も聞いていないので、分からないです」と答えた。著書については、「ほとんど原稿のままで、内容にはタッチしていません」としている。アマゾンでは、本のベストセラーで8位に入るなどしており、重版するなど販売は好調だという。

   ネット上では、著書が韓国のウィキペディア項目をそのまま翻訳したのはどうなのか、といった指摘はある。しかし、アマゾンのレビュー欄では、46件のうち39件が星5つの最高評価を付けており、「著者の勇気に感服しました」などの賞賛も相次いでいた。

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