「無口な人」と思われたまま死亡の例も 取り残されがちな被災障害者を支援【宮城発】

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企業と力を合わせ、より「売れる」商品を

   AARは、施設で障害者が従事できる仕事を作り、工賃を上げるための支援を始めました。それまで海外での緊急支援や障害者支援の経験を活かし被災地で活動してきましたが、仕事の確保や商品の販路開拓などのノウハウは持っていませんでした。「障害者を取り巻く環境を改善したい」というAARの呼びかけに実に多くの賛同者が集まってくださいました。中でも多大なご支援を頂いているのが、経営コンサルティング、テクノロジー・サービス、アウトソーシング・サービスを提供するグローバル企業のアクセンチュア株式会社です。同社は、震災以前からAARのアジアでの障害者支援や国内でのイベントなどにご協力くださっていました。同社との協働事業として、これまで被災県の約60の施設で、事業の再開支援や民間企業からの業務委託の仲介を行うことができました。ここでは、最新の挑戦をご紹介します。


障害者施設「まちの工房まどか」(宮城県仙台市)で、職員の塚原英男さんから、Tシャツに絵柄をプリントする機材の説明を受けるアクセンチュア株式会社の佐藤真矢さん(中央)とAARの野際紗綾子(手前)
障害者施設「まちの工房まどか」(宮城県仙台市)で、職員の塚原英男さんから、Tシャツに絵柄をプリントする機材の説明を受けるアクセンチュア株式会社の佐藤真矢さん(中央)とAARの野際紗綾子(手前)

   福祉施設では、食品のほかにアクセサリーや手芸小物などを生産していますが、デザインや機能性に優れているものばかりではありません。素材を厳選したり、機能性やデザイン性を高めることができれば、より「売れる」商品になると考え、「アートクラフトデザインアワード」と題したコンペを行いました。


   まず、施設ではどのような障害のある方々が、どのような作業工程で製品を作っているのかを調べるため、アクセンチュア株式会社の社員の方々と一緒に東北の施設を回りました。日ごろの民間企業へのコンサルティング業務の経験を活かし、「量産する場合、仕入れは確保できるか」など、採算や販路といったことまで細かく考慮した質問に、AARスタッフも一緒に学ばせていただきました。


全国の美術大学などに配った「アートクラフトデザインアワード」のチラシ
全国の美術大学などに配った「アートクラフトデザインアワード」のチラシ

   宮城・福島の2県で、それぞれ「アクセサリー」「Tシャツ」「木工製品」「革製品」「布製品」を製造する5つの福祉施設との協働が決定。その後、施設で作る製品のアイディアをホームページや全国約700の美術大学・専門学校などを通じて募りました。アイディアは、例えば木工製品だと、「木材を切る」「接着剤で接着する」「やすりをかける」「釘を打つ」といった作業で制作可能なものでなくてはなりません。使う人にも心地良く、作る人にとってもバリアフリーなデザインであることが条件になっていました。

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