復興段階に浮かび上がった新たな課題
AARは、震災直後の緊急段階ではのべ約18万人に食料や生活必需品を配付しました。また、震災から半年後以降の復旧段階では、約60の障害者・高齢者施 設へ、全・半壊した建物の修繕工事や福祉作業所で壊れたパン製造機などを設置するなど、それぞれの状況に応じた支援を行ってきました。
しかし、震災から一年を過ぎたころから、施設での仕事不足と限られた工賃という新たな課題が立ちはだかりました。施設では、菓子やパンなどさまざまな製品 を生産・販売し、その収益を利用者に「工賃」というかたちで還元しています。しかし、震災で販売先や発注元企業が被災し、施設の仕事が激減。障害のある方々の平均工賃は、震災前から月1万2千円程度しかありませんでしたが、その水準すらも下回るようになりました。7~8万円の障害年金と合わせても、生活は決して楽ではありません。このままだと、障害のある方々が、災害時の緊急・復旧段階だけでなく、復興段階でも取り残されかねない状況となってしまいます。震災前の状況に戻すのではなく、さらに一歩先を目指した支援が必要になりました。