日本の悪いところの縮図
もっとも、筆者の20年前の予言はすぐに当たり、厚生年金基金は次々にたちいかなくなった。ところが、天下りがいた厚生年金基金は解散などの抜本策を打たないままに現在に至っている。
国の政策で、天下りが絡むと容易に方向転換できないのがわかる。天下り確保が優先し、国民は二の次なのだ。中には、政策は単なる口実で、天下り確保が本音ではないかとさえ思えるモノもある。
20年前に筆者が厚生年金基金の欠陥に気がついたとき、大蔵省の人にも相談したが、あえて指摘することもないと言われた。天下りが絡むと、どんな官僚でも我が身大切になって後ろ向きになるものだ。
官僚が厚生年金基金に天下っても、自分は公務員共済年金なので、厚生年金基金がどうなっても構わないといったら言い過ぎだろうか。20年前に対処していれば、このような大問題にならなかっただろう。
天下りに関わる問題は他にもまだある。その意味で、厚生年金基金の問題は、日本の悪いところの縮図である。