朝のラッシュで電車のドア閉まらない JR東日本の「緊急対応」に乗客ビックリ

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   千葉県のJR西船橋駅で、京葉線の電車のドアが故障のため閉まらなくなった。折しも朝のラッシュアワー。乗客の安全が確保できないままでは電車は動かせないが、出勤時間が迫る乗客は気をもんでいる。

   駅員は緊急の策として、開いたままのドアを「幕」で覆い、電車を発車させた。普段見慣れない光景に、乗客は目を丸くしたようだ。

幕の使用「数年前に1度あった、という程度」

JR京葉線(本文中に出てくる車両ではありません)
JR京葉線(本文中に出てくる車両ではありません)

   ドアが故障したのは、武蔵野線府中本町から西船橋に到着した電車だ。2013年4月10日の8時30分ごろ、乗客のリュックサックのひもが戸袋に引き込まれ、閉まらなくなった。

   JR東日本千葉支社の広報担当者はJ-CASTニュースの取材に、「通常であれば乗客全員に降りていただき、故障した電車を車庫に移動させます」と説明する。その次に来る電車に乗せて対処するのだが、この時は朝の通勤ラッシュまっただ中。ただでさえ混雑して到着する電車に、全員が乗れる保証はない。

   路線もやや「特殊」だった。故障が起きた電車は京葉線東京駅に向かう予定だった。実は武蔵野線から京葉線に乗り入れる電車は、西船橋から東京方面に向かうものと海浜幕張方面の2種類がある。後者は東京には行かない。仮に故障した電車から全員を下ろすと、その後に来る海浜幕張方面行きの電車を見送らざるをえず、後発の東京行きは「約15分後になります」という。

   そこで西船橋の駅員は、「緊締幕(きんていまく)」と呼ばれるビニールコーティングされた黄色い厚手の生地の幕を持ちだした。現場の判断で、ドアの両側にある手すりに、一部蛇腹になっている幕を取り付けて開きっぱなしのドアをふさぐ処置を施したのだ。ドア全体を覆いきれないため、電車の走行中は外気が入り込む。乗客がうかつに近づくと万一の事故に結びつきかねない。そこで係員が電車に乗り込み、ドア付近に立って安全を確保しつつ、乗客に近づかないように促して電車を発車させた。各駅に到着して乗客が乗り降りする際も幕は外されず、別のドアを使うように誘導した。

   緊締幕は、JR東の有人駅ではどこでも常備しているという。ただし使用機会は「めったにありません。数年前に1度あった、という程度です」と広報担当者は話す。該当の電車は無事に東京駅に到着、再度乗客を乗せて西船橋まで運行した後に、回送となって車庫に送られた。東京駅から折り返したのは、下りですいていたからのようだ。このトラブルにより電車の遅延は起きたが、けがをした人はいなかった。

乗客は「わりと怖い」、駅員の対応を評価する意見も

   JR東が「めったにない」と認める光景に遭遇した乗客らからは、その時の様子を撮影した写真や動画がインターネット上に投稿された。混雑した車内から、黄色の緊締幕が張られたもののドアの上部があいている様子や、駅員が幕を取りつけているような風景を駅のプラットフォームから撮った写真、また動画は電車が無事に出発しているところを押さえていた。ツイッターでは「ムチャし過ぎだろ」「この状態のままドア開けっ放しで走ってる。わりと怖い」という声だけでなく、駅員の対応ぶりを評価する意見もあった。

   今回は極めてまれなケースだったようだが、ネット上には過去にも電車のドアのトラブル体験談が投稿されている。2011年にはJR総武線の電車でドアが開かなくなり、駅員がこじ開けようと奮闘する様子や、結局スムーズに開かなかったのか「このドアは故障中のため開きません」などと手書きされたはり紙が写真に撮られ、アップされていた。

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