回転寿司大手「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトホールディングスが、意外な理由で業績ダウンとなった。ネックとなったのは、同店の看板サービス「新幹線レーン」だ。
2013年4月9日発表された13年度2月期の決算によれば、主力の回転寿司事業の低調が響き、その営業利益は前期比76.1%減の8億100万円、純損失は22億3400万円となった。
「回転寿司ならではの醍醐味見直したい」
その要因の1つが「店舗オペレーションの異常」、すなわち新幹線レーン偏重の問題という。
近年、かっぱ寿司に限らず回転寿司業界では、「回っている寿司」を取るよりも、店側に直接注文する客が増えている。「好きなネタが回っていない」「鮮度の高いネタを食べたい」といった理由からで、マルハニチロホールディングスが3月発表した調査では、「回転優先派」の21.4%に対し、「注文優先派」が61.1%と3倍近い大差をつけた。
こうしたニーズに対応したのが新幹線レーンで、タッチパネルで好きな寿司を注文すると、通常のレーンとは別に設置されたレーンを通って、ダイレクトに商品を届けてくれる。食べたいネタを手軽に食べられると好評で、CMでも大きく紹介されるなどかっぱ寿司「一押し」のサービスだった。
ところが新幹線レーンは1度に1組の客にしか商品を届けることができないため、注文が集中するとたちまち「渋滞」するという難点が。これが「新幹線推し」で顕在化してしまった。対策として同社では従来の回転レーンの充実を目指したが、こちらにも廃棄数の増加という問題があり、こうした課題の解決が遅れたことが、売り上げの低迷につながった。
ある意味では「注文派」増加がもたらしたとも言える今回の業績低下。かっぱ寿司では今後も回転レーン復権を軸に対応を続けていくとのことで、「回転寿司ならではの醍醐味を改めて見直していきたい」(カッパ・クリエイトホールディングスの担当者)と話している。