社会的に孤立している人は、死の危険が26%高まる――こんな研究結果がイギリスで発表されて、インターネット上で話題を呼んでいる。「1日にタバコを15本吸う並に危険」という別の調査結果もあり、自分が当てはまるのではないかと戦々恐々とする声が相次いでいる。
「運動不足や肥満以上に死亡率に影響」報告も
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのアンドリュー・ステップトゥ教授(免疫学、公衆衛生)らによっておこなわれた調査結果は、2013年3月25日、米国科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。
50歳以上のイギリス人6500人に、彼らの孤独のレベルについての質問に答えてもらい、集めたデータを分析した。友達、家族、宗教団体、そのほかの組織など、社会的なつながりを聞いた上で、7年後に何人の人が死んだかを調べた。
すると、性や年齢、そのほかの要因を考慮に入れてもなお、かなりのレベルで社会的に孤立している人は死亡率が26%も高かったそうだ。
ここでいう「社会的孤立」とは、客観的に見て、他人とほとんど交流していない状態をさす。一方の「孤独感」は、社会的なつながりに不満を覚える人が抱く感情のことだ。
この区分について、「社会的に孤立している人は孤独感を抱きがちで、逆もまたしかりですが、かといってそれが完全に当てはまるわけでもありません」とステップトゥ氏は米Science now(電子版)に対して話している。
また、極度な孤独感は一見すると死の要因になっているようにも思えるが、所得や教育、そして健康問題の有無といった生存に関わるほかの要因を考慮に入れたところ、それだけでは、人々を死に至らしめることはないことがわかったという。
孤独感のあるなしに関わらず、社会的に孤立していれば死の危険性があがるというわけだ。
社会的な関係と死のリスクに関する調査は2010年にケンブリッジ大学でもおこなわれていた。「社会的関係は、タバコやアルコールと同等で、肥満や運動不足よりも死亡率に影響がある」と結論付けられており、論文中で、社会的に孤立していて孤独を感じていることは「1日に15本タバコを吸うのと同じくらい健康に悪い」とされていた。