最高裁は「租税法定主義」に軍配
企業税は、2000年の地方分権一括法の施行で自治体が法律の定めのない独自の税(法定外税)を創設しやすくなったことを受け、総務相の同意を得て導入された。その後、利益だけでなく企業規模などに応じて税を徴収できる「外形標準課税」が導入されたのに伴い、2009年3月に廃止されている。
今回の訴訟は、地方自治に重きを置くか、課税は法律に基づかねばならないという「租税法定主義」を重視するかの争いだったが、最高裁は後者に軍配を上げたことになる。例えば大阪府泉佐野市が導入した、関西国際空港と市を結ぶ空港連絡橋利用税など、景気低迷による税収不足対策の法定外税への風当たりが厳しくなる可能性がある。
税収不足対策なら、住民税率の引き上げなどは自治体の判断で可能だが、選挙を意識して実行は難しい実態がある。今回のような企業への課税は「取りやすいところから取るという安易な発想」(経済団体関係者)ともいえ、自治体は発想の転換を求められた形だ。
法定外税は、2011年度決算ベースで、総額は316億円と地方の全税収の0.1%にも満たない。しかも3分の2は核燃料関連税で、実際にはほとんど機能していない。ただ、その中では企業税のような「法定外普通税」でなく、産業廃棄物などへの課税、環境保全を目的に観光客や別荘所有者などに負担を求めるなど、目的を明確にした「法定外目的税」が少なくない。「政策目的が明確な方が受け入れられやすく、今後の主流になっていくのではないか」(総務省筋)との見方も出ている。