円暴落「まだ、気が早い」
もちろん、ジョージ・ソロス氏はヘッジファンドを率いる投資家だ。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ソロス氏は2012年11月以降の3か月間に、円安を見込んだ取引で約10億ドル(約940億円)の利益を得たという。
他にも「安倍相場」の円安で儲けたヘッジファンドは少なくなく、ヘッジファンドによる円売りがこのところの円安に拍車をかけたとの見方もある。ソロス氏の「円の崩壊」発言が、自らの投資を有利に運ぶ「ポジション・トーク」の可能性がないとはいえない。
みずほコーポレート銀行国際為替部の唐鎌大輔マーケット・エコノミストは、「円安傾向が続くことに異論はありません。ただ、円の暴落はまだ気が早い話です」という。というのも、「国債を売る投資家がいない」からだ。
「これまで機関投資家は運用先に困って国債を買っていましたし、国債がほしい状態はいまも続いています。(外債の購入などで資金が海外へ流出する)理屈はわかりますが(それがきっかけというのは)現実的ではありません。そもそも、日本は経常黒字国です。黒字が確保できているあいだは(円の暴落は)起こりません」