東京五輪の経済効果、本当に3兆円? マスコミ大キャンペーンの舞台裏

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「逆経済効果」も予想しなければ

   特に、数字の内訳で、投資関係の少なさが東京の特徴であり弱点だ。ロンドンの効果では、約57%が大会のために建設された施設に由来し、他は閉会後に作業を行う建設業が24%、五輪に絡んだ観光業が12%、大会運営・開催費が6%(大手銀ロイズ・バンキング・グループによる調査報告書)。これに対し、東京は既存の施設を活用して、無駄なものをつくらないことをPRしている。チケットなどの収入や選手村の大会後の売却代金などを差し引いて、「五輪開催に伴う純粋な公費支出は1500億円」と、都が「無駄排除」を強調すればするほど、経済効果の方はお寒くなりかねないジレンマがある。

   試算は仮定に基づいたものとはいえ、「『五輪によって前倒しされる経済活動』も含まれている可能性があるし、『五輪関連の経費を他の事業に投入した方が、効果が大きい』場合性もあるだろう」(大手紙運動部記者)。例えば老朽化した国立競技場は、五輪のあるなしにかかわらず建て替えることが決まっており、この建て替えを五輪関連の需要増加に含めるのには異論も出るところだ。

   さらに、「五輪の開催で、本来あるはずなのが起こらない(減る)逆経済効果」もある。実際、ロンドン五輪では開会の最初の週、ホテル滞在客が通常の30%も落ち込み、8月月間の海外からの英国への旅行者も5%減ったと報じられた。ホテル代が「五輪料金」に跳ね上がったこと、また「常連客」が五輪による混乱を敬遠したためと推測されている。五輪で東京の経済が上向いても、地方では客足が鈍って経済的に損失が生まれることも考えられる。

   いずれにせよ、8年で3兆円の波及効果と言っても、ならせば年3700億円程度。国内総生産(GDP)の押し上げ効果はせいぜい0.1%ともいわれ、過剰に期待しない方がよさそうだ。

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