朝鮮半島で有事勃発 それでも円安傾向変わらない可能性

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   東京株式市場は2013年4月8日、日経平均株価が前週から4日続伸。日本銀行の「量的・質的金融緩和」を背景にした円安進行で、終値は前週末に比べて358円95銭高の1万3192円59銭で引けた。終値が1万3000円台だったのは4年7か月ぶりのことだ。

   この日の円相場は一時1ドル99円台に乗せた。「100円台」が見えるなか、一方で朝鮮半島情勢はこれまでにないほど緊張が高まっている。万一、北朝鮮が「暴発」した場合、円と株はどうなるのか。

北朝鮮、4度目の核実験を準備か

朝鮮半島が緊迫!「有事のドル買い」が進むのか?
朝鮮半島が緊迫!「有事のドル買い」が進むのか?

   北朝鮮の米韓への挑発行為が、日々エスカレートしている。北朝鮮は2012年12月に事実上の長距離弾道ミサイルの発射実験を行い、13年2月12日には3回目の核実験に踏み切った。

   3月に入ると、朝鮮戦争休戦協定の「全面白紙化」や韓国との不可侵合意破棄を宣言。同26日には、米本土や太平洋地域の米軍基地へのミサイル攻撃を示唆しながら、「1号戦闘勤務態勢」を発令し、翌27日には南北軍当局間のホットラインを遮断すると韓国側に通告した。さらには4回目の核実験を準備する動きがあると、4月8日付の韓国・中央日報(日本語版)は報じている。

   米韓を刺激し続けている北朝鮮が今後、従来では考えられない武力行使に出る可能性は十分にありそう。局地的な衝突も否定できない状況になってきた。

   一方、日本ではアベノミクス効果による円安・株高が続いている。北朝鮮と米韓が「心理戦」を繰り広げているあいだに、円相場は16円超も下落し、日経平均株価は3700円超も上昇した。

   4月8日の円相場は午後には1ドル98円後半で推移。前週末17時時点に比べ2円以上の円安・ドル高だ。早朝から円売りが先行し、一時は2009年5月以来3年11か月ぶりに99円台に乗せたが、市場には「緊迫した北朝鮮情勢も円売り材料として意識されつつある」との見方も広がってきた。

   朝鮮半島で紛争が起これば、周辺国である日本への影響は小さくない。経済アナリストの小田切尚登氏は、「『有事のドル買い』というように、戦争になっても、またこのまま『冷戦状態』が続いても、やはり円売り・ドル買いが進むでしょう」と話す。

   ただ、「戦闘状態が長期化することは考えにくい。加えて、実際に一番被害を受けるのは韓国(ウォン)ですし、中国元も売られやすくなります。そう考えると、日本円はそれほど影響を受けないと思いますね」と予測する。

局地的な小競り合いで済めば、円安は進み105円程度?

   第一生命経済研究所経済調査部・首席エコノミストの嶌峰義清氏は、「突発的に(北朝鮮が)暴発したとしても、直ちに円や株価が暴落することはないでしょう」とみている。

   北朝鮮の挑発行為が「オオカミ少年」のようになっており、「これまでもよりも(アナウンスの)トーンが上がったとしても(円相場や株価を動かすだけの)効果はないでしょう」と話す。

   「ここ数週間だけでも、北朝鮮はいろいろな挑発行為を行っています。隣国の韓国の株価はその煽りで下落していますが、日本株はほとんど影響がありません。現状ではそれだけ日本に勢いがあるということです。たとえ北朝鮮が暴発したとしても、(2010年の延坪島砲撃のような)局地的な小競り合いで済めば、円安は進みますが98円半ばの水準が105円程度、株価も500円程度の下落にとどまるとみています」という。

   一方、前出の経済アナリスト・小田切氏は株価について、こう話す。「かつての朝鮮戦争のような特需はないでしょう。ただ、韓国企業のダメージの大きさによっては、日本企業が優位に立つので(日本株が)買われる可能性はあります」とみている。

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