早稲田大学が非常勤講師の契約期間を通算で5年までとする就業規則を2013年4月から施行していたことが分かった。非正規労働者は5年を超えると無期雇用にできるとした労働契約法改正に合わせたものとみられ、労組などから疑問の声も出ている。
早大には、これまでに非常勤講師や客員講師らに対する就業規則はなかったが、文科省の私学行政課によると、早大からは、2013年4月1日施行の規則を新しく作ったと報告があった。
組合は労基法違反で早大を刑事告発
その規則では、非常勤講師らの契約期間の上限を通算で5年とすると明確にうたっていた。
労働基準法では、就業規則を作る場合は、労働者の過半数の代表者から意見を聞かなければならない。ところが、早大の一部が加入している首都圏大学非常勤講師組合によると、こうした手続きをきちんと踏んでいなかった疑いが早大にあるというのだ。
早大は、2月4日に代表者の立候補手続きを始め、この月の14日から28日にかけて公示・投票を行った。しかし、早大の組合員にはほとんど知らされず、事実上の信任投票が行われたという。組合の副委員長は、取材にこう話す。
「この間は、授業が終わっていたり、入試で立ち入れなくなったりしており、非常勤講師のほとんどが学校には行っていません。大学は、投票用紙などをメールボックスに入れたと言っていますが、組合員で受け取ったのは、たまたま行った1人だけですよ。ネット上でもお知らせしたといいますが、だれも見ておらず、載せていない可能性すらあります」
組合では、2月下旬に動きに気づいたものの、その内容を知ったのは、3月19日の団体交渉になってからだとした。そして、正当な手続きで代表者を選んで就業規則を作らなかったとして、労基法違反の罪で4月8日に東京区検に刑事告発した。