回っている皿はもはや「飾り」だ
他の客を見ても調査どおり、「注文派」が多いようだった。子供連れで来ていた若い女性も、終始レーンを眺めて品定めをしていたが、実際にはほとんど手を伸ばさない。もちろん逆に一切注文をしないという人もあったが、やはり少数派だった。注文派の増加はどうやら間違いないようだ。
こうした流れを受けて回転寿司店側も、注文システムの充実を進める。最近増えているのが、客席にタッチパネル式の端末を備え付け、画面上から好きなネタを頼めるタイプの店だ。スシロー、かっぱ寿司、無添くら寿司など大手3社はいずれも導入を開始している。
ここまで来ると、もはや「別に回っている必要がないんじゃ……」という気さえしてくる。実際、「回らない回転寿司」はすでに存在する。12年にオープンした「魚べい 渋谷道玄坂店」「元気寿司 渋谷店」だ。回転レーンを全廃し、代わりに3列の高速運搬レーンを設置、端末から注文を受け付け次第、即座に客の眼前に寿司を届ける。
両店を運営する元気寿司(宇都宮市)によれば、やはりこうした業態も、注文派が増える中、注文にいかに迅速に対応するか、という試行錯誤の中で生まれたという。「好みの寿司が新鮮な状態で早く届くのが、好評のポイントです」と担当者は話していた。