チェルノブイリでも観光ツアー
ネットでは非難轟々だが、暗い歴史を持つ場所が観光地になることは世界的にも珍しくない。こうした旅行は観光学では「ダークツーリズム」と呼ばれていて、東さんも今回の計画が、1986年に原発事故のあったチェルノブイリで2011年から公式観光ツアーが実施されるようになったことを受けたものだと話している。それ以前も闇ルートで侵入を試みる人が相次いでいたという。第二次世界大戦でナチスによるユダヤ人大量虐殺の舞台となったアウシュビッツ=ビルケナウ強制・絶滅収容所でも、観光客向けにガイドつきのツアーが実施されている。
また、日本国内でも広島の原爆ドームや沖縄のひめゆり平和祈念資料館、熊本の水俣病資料館など、悲惨な記憶を風化させず、そこから教訓を学び取るための施設はあり、そこを目的地とする修学旅行や観光旅行も一般的だ。
東さんは今回の計画について、福島第一原発観光地化計画研究会アフタートークのなかで、「何もしなくても、自動的に観光地化される。25年もすれば自然に観光地になってしまう。我々がわざわざ観光地化する、という話じゃない。観光地化されてしまうときに、どうコントロールするかという話」と説明している。
ただ、現実的な問題として、「チェルノブイリは1基、フクイチは4基。今は汚染水の処理で手一杯。25年後、観光地にできる状態になっているだろうか」と懸念を示す人もいる。また、元国連職員でライターの谷本真由美さんはツイッターで、チェルノブイリについて「観光地じゃないです。あの辺のことを話すのはタブーですよ。ウクライナやベラルーシ出身の同級生いたから…」などと書いている。