新入社員の4割を女性にする法律を作れば、女性を雇おうという流れができる――。自民党の野田聖子総務会長が講演でこう発言したと報じられ、論議になっている。
野田聖子衆院議員(52)は、1か月ほど前の講演で、少子化対策として中絶禁止を唱えたと報じられ、ネット上でも賛否が分かれる議論になった。今回話題になったのは、女性の社会参加を巡っての発言だ。
高市早苗政調会長とのバトルを意識
発言は、日本外国特派員協会で2013年4月3日にあった講演の最中に出た。ニュースサイトに上がっている動画を見ると、野田氏はまず、総務会長就任早々に高市早苗政調会長とのバトルと呼ばれたことだと切り出した。
それは、1月6日のテレビ番組で、女性の社会進出について、高市氏が「数値目標には慎重な立場だ」「女性にげたを履かせて結果平等をつくるのは過渡的な施策であるべき」と言ったのに対し、野田氏が「強制的に枠をつくらないと女性が活躍する場所が生まれない」「数値目標は大切だと思う」と言い返したことを指すらしい。
野田氏はこの「バトル」を踏まえ、日本のサラリーマン社長では、なかなか改革ができにくいとして、やはり国が数値目標を決めることがいいと言い出した。続けて、こう提言した。
「例えば、新入社員を雇うときに4割は女性にしなさいという法律を作れば、そういう人たちにとってはいい言い訳っていうか、エクスキューズになって、国が言っているから、まあ文句はあるだろうけど、女性を4割雇おうよねっていう、そういう流れができると思うんですよね」
その方法について、野田氏は、国が企業に命令するか、4割雇った企業を税制優遇するかがあるとした。
政治学者「まず自民党候補の4割を女性に」
野田聖子氏の大胆な発言について、ネット上では、「方向性としてはアリだと思う」といった理解の声も一部ではある。しかし、多くは、その内容や実現性に疑問を投げかける意見だった。
それらをみると、能力がない女性も採れということになり逆差別だ、業種で向き不向きもあり肉体労働なども4割にできるのか、主婦やパートでいいとして長時間働きたくない女性が嫌がるのでは、といったものが多かった。
東大の菅原琢准教授(政治学)はツイッターで、「まず自民党の候補の4割を女性にしましょう」と呼びかけた。「法律なんかで無理くり他人にやらせるより自分たちで簡単にできるし、おそらく効果的」だとしている。ネット上では、国会議員や公務員の4割を女性にすることの方が先ではないか、との意見も出ていた。
野田氏の言う法律は、自民党内で実現化に向けた動きが進んでいるのか。自民党は2020年までに指導的地位における女性の割合を30%以上にするとの公約を衆院選で掲げていたが、その一環になるのか。
自民党政調会の事務部長は、取材に対し、こう説明した。
「党内で少し議論をしているかもしれませんが、担当者に聞いても、一切聞いていないと言います。個人的な意見なのか、自民党の職員を対象にしたものなのかも含め、こちらでは分からないんですよ。いずれにせよ、初めて聞いたことで、議論していると言える話ではない気がします」
野田氏の事務所に取材すると、本人が多忙のため、いつ回答できるか分からないとのことだった。