中国「豚の大量死骸」は感染源でないのか 急拡大「新型」鳥インフルエンザが不気味だ

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当局発表が感染者死亡から20日経過していた

   前出のネイチャーの記事によると、死亡した上海の男性2人が症状を訴えたのはそれぞれ2月19日と2月27日、亡くなったのが3月4日と3月10日となっている。上海の黄浦江で大量の豚の死骸が見つかったのは、発症から少し時間がたった後だ。この点だけを考えると、川に投棄された豚がウイルスをまき散らしたと考えるのは少々苦しいだろう。

   ほかに感染者が出た江蘇省や安徽省は上海から離れており、感染者同士の接触により広がったという報告も今のところ聞こえてこない。一方、川の上流にあたる浙江省でも患者が見つかっているが、豚の死骸との因果関係は不明だ。

   人民日報日本語電子版4月2日の記事では、上海の衛生当局が黄浦江に漂流していた豚の死骸のうち34体をサンプルとして鳥インフルエンザのウイルスがあったかを調べたが、検出されなかったとなっている。

   ただ、完全に不安が拭いされたわけではない。上海市が鳥インフルエンザによる死亡事例を公表したのは、男性2人が亡くなってから20日も経過した後だ。「新型ウイルスと確認するまでに時間がかかった」と釈明し、意図的な情報隠しは否定したが、2003年に新型肺炎「SARS」が発生した際には情報公開の遅れが被害拡大につながったため激しい非難を浴びている。

   WHOは「今後も新たな感染者が見つかる可能性が高い」としており、感染ルートの特定もされていない。一方で豚の死骸の大量投棄も、いまだに誰が何の目的で行ったかが解明されておらず、あれこれと不明な状態が続けば「何か関連があったのでは」と勘繰る声が出てこないとも限らない。

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