マンガ、アニメなど日本の文化を世界にアピールしようと開催された「クールジャパン推進会議」の席上で、議員の秋元康さん(54)が「クリエーターにノーギャラで働いてもらう」などと発言したとしてネットで批判が沸騰している。
クールジャパン推進に関し、政府は500億円もの予算を捻出すると発表しているし、そもそも、日本のクリエーターの収入は低いため、まずは給料を上げるなどの対策が必要ではないかというものだ。
支援金500億円はどこに行ってしまったのか?
「クールジャパン推進会議」の第2回が2013年4月3日に開催され、ツイッターではその「実況」が傍聴者によって行われていた。すると、秋元さんが発言したというこんなツイートが現れた。
「日本の優秀なクリエーターが、これ重要なんですが『ノー・ギャラ』でやるチームを作って取り組む、日本のために」
ネットは大騒ぎになり、
「補助金500億円もらっといてお前らは0円で働けとか。秋元康は鬼畜だよなぁ」
「無報酬って馬鹿じゃないの…クリエーターに正しく対価を払わないなら、クールジャパンを国策として売り出す意味がないじゃないか」
「日本で頑張っているクリエーターさんたちが人並みに食えるようにしてやってくれよ」
などといった批判が噴出した。
秋元さんは本当にこんな発言をしたのだろうか。内閣官房の知的財産戦略推進事務局に話を聞いてみたところ、
「あくまで秋元さんの提案であり、決定したわけではありませんが、国策としてクールジャパンを進めていくのであれば、優秀なクリエーターの方々が無報酬で一致団結をする、そうした取り組みがあっていい、ということを語られました」
と認めた。それでは500億円の予算はクリエーターに還元されなくてもいいのか。事務局の担当者は、この予算は経済産業省のものだから、「クールジャパン推進会議」が自由に出来るわけではなく、切り離して考えてほしい、と説明した。
「みんな勘違いも甚だしい」とツイッターで質問に回答
経産省のホームページには13年1月19日に発表した13年度の予算案が掲載されていて、クールジャパン推進に関しては、新たな才能を発掘するための予算は10億円、クールジャパンを体現する日本企業の支援に500億円という数字がある。経産省によれば、まだ500億円は申請段階で決定されたものではないが、「クールジャパン推進機構」の基金となり、最長20年に渡りショッピングモール建設やコンテンツ制作・配信などに使われていくのだそうだ。
こうした話を聞くと、ネットで「カネがあるのに支払いをケチる」という批判とは、ニュアンスが違っているようにも思える。
秋元さんの事務所で働いた経験のある「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら」の作者、岩崎夏海さん(44)は、秋元さんの発言の真意をツイッターで代弁している。それを読むと、世界の人が見たいのは超有名なクリエーターの作品だが、そんな彼らに仕事を頼み相場のギャラを支払うとなれば予算的に無理な話になる。
「日当が一万円の人のギャラをケチってるわけではない。日当が百万の人のお金を払えないという話なのに、みんな勘違いも甚だしい」
などとツイッターで、フォロアーからの質問に回答している。