出生前診断、異常わかるのは3種類だけ ネットでも母親の切実な声

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羊水検査で診断を確定させずに中絶の恐れも

   今のところ、診断の対象者は、「高齢妊娠」となる35歳以上の女性と、超音波検査などで染色体異常が見つかったケースに限られる。診断を受ければかなりの精度で染色体異常が分かるが、陽性でも診断を確定させるには、羊水検査を受けなければならない。

   診断で分かるのは、ダウン症のほか、重い心疾患や奇形などが見られるエドワーズ症候群と、呼吸不全や奇形などが出るバトー症候群だ。後者2つは、生後1年まで生きるケースは限られるという重い病気だ。

   しかし、現状では、この3種類しか診断できず、これは先天異常の2割ほどに留まるそうだ。「命の選別」とも指摘される中絶には、賛否が割れているため、臨床研究から幅広く実施に進むには、まだハードルが高そうだ。

   産婦人科医の宋美玄(ソン・ミヒョン)さんは、読売新聞・医療サイトのコラムで、「羊水検査も高額であることなどから確定診断を省いて中絶する例が出る可能性もあると危惧する産科医も少なくありません」と指摘した。また、3種類しか診断できず、「営利目的の外国企業が日本に乗り込んで混乱を及ぼしたり、中絶だけが日本の母体保護法指定医に依頼されたりすることは十分に考えられます」と言っている。

   宋さんは、ツイッターで「出生前診断は命の選択だ、中絶は殺人だというのも一理。が、現状維持じゃ病気の子どもを産んだ時点で親に求められる自己犠牲は非常に大きく躊躇するのは仕方ない。そういうことも議論しないと」とも指摘した。そして、障害を持った子どもや産むことを選んだ母親らのケアもしっかりしないといけないと、問題提起している。

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