中国市場はアップルの売り上げの1割占める
「アップルも落ちぶれたな」――今回の謝罪に対し、インターネット上ではこんな反応が相次いだ。アップルといえば、最近こそiOS6の地図の不出来で謝罪したこともあったが、「そう簡単には謝らない」社風で有名だったからだ。
12年11月にサムスンとの裁判で敗北し、イギリスの裁判所に公式サイトへの謝罪の掲載を命じられた際には、目立たない上にあれこれ小細工した、とても謝罪には見えない「反省文」を掲載、書き直しを命じられて話題になったこともある。
そんなアップルが一体なぜ、今回の件について、命令されてもいないのに、真摯に謝ったのか。
2ちゃんねるには「ヒント:林檎が謝罪を発表したのは4月1日」と本気で謝罪しているわけではないとみる人もいるが、国内外での大方の見方は、規制などで混乱が続くことによる、(1)巨大な中国市場を失うことへの危惧(2)批判報道による株価の低迷、が原因というものだ。
アップルの2013年度第1四半期で、中国に香港と台湾を加えた地域での売り上げは前年同期比67%増加と、もっとも急速な伸びを示した。また、全体に占める比率も12.5%と、前年同期の8.8%から大幅に拡大していたのだ。クックCEOも13年1月に訪中した時、「中国は現在アップルにとって米国に次ぐ市場であり、将来的には最大の市場になると考えている」と語ったという。
また、批判報道を受け、アップル株には売り圧力がかかり、先週には5%近く値を下げていた。
その上、アップルが中国のシェアの半分を失うと、年間約131億ドル(約1.2兆円)の売り上げを失うのと同等になり、1株当たり利益に換算すると約3.62ドルの喪失になるという試算も、シティグループのアナリスト、グレン・ヤン氏によりされている。パソコン大手の米ヒューレット・パッカードが2010年3月に中国で同様のプロパガンダキャンペーンを受け、その後1年で市場シェアの約42%を失ったことから計算したものだ。
こうしたことから、同氏はアップル株への投資判断を「ホールド」と結論付けている。