多くの医院が滅菌や消毒の様子をネット公開
ただ法律で、医療機器の殺菌や洗浄といった作業の細かな手順を定めているわけではない。日本歯科医師会に聞くと、同会では医療機器のメンテナンスを含めた取り扱いについて独自のガイドラインと、その実践マニュアルを策定しているという。
医療機器の滅菌、消毒を徹底している様子をウェブサイトで紹介する医院も少なくない。紙コップや手袋、注射針といった使い捨ての用具は使用後必ず廃棄する、といった点を明記し、機器を写真付きで見せながら滅菌や洗浄方法を具体的に説明している。患者としてはこうした「情報公開」は、歯科医の安全に対する意識の高さを知るうえで参考になるだろう。
エイズ予防財団が運営する「エイズ予防情報ネット」によると、HIVの感染力は弱く、「性行為以外の社会生活のなかでうつることはまずありません」とある。血液を介する感染は、覚せい剤などを注射器で「回し打ち」するといった、日常生活を送る上で通常考えられないケースだ。もちろん患者側は、エイズやC型肝炎に関する正しい知識を持つことが重要だが、米国での例を考えてみると、医師として当然の義務である衛生管理を放棄するという「悪意」に満ちた、特異な事例と言える。