世界初、中国で「H7N9型」鳥インフルが人へ感染 「人から人へ感染」これが一番心配な事態だ

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   中国政府が、鳥インフルエンザ「H7N9型」の感染によって、上海で2人の男性が肺炎などの症状を訴え死亡したと発表した。「H7N9型」の人への感染が確認されたのは初めてのことだ。

   専門家は、中国当局の発表の遅れを2003年のSARS騒動と重ねて指摘し、「人から人へ(ヒトヒト)の感染が本当にないのか注視する必要がある」と話している。

発熱や肺炎等の症状で2人死亡

   中国の衛生当局が2013年3月31日、発表したところによると、上海市の87歳と27歳の男性が、ともに2月に発熱や肺炎などの症状を訴え、87歳の男性は3月4日に、27歳の男性は10日に死亡した。

   2人が「H7N9型」の鳥インフルエンザウイルスに感染していたことが、検査の結果30日に確認されたという。また、中国東部安徽省の35歳の女性からもこの型のウイルスへの感染が確認された。女性は現在も治療中で、肺炎などの症状が重いそうだ。

   鳥インフルエンザはこれまで、「H5N1型」などの感染例は多数報告されてきたが、中国の衛生当局によると、「H7N9型」のヒトへの感染は世界でも報告されたことがない。

   3人の感染経路は不明で、今のところ濃厚接触者88人に発症の兆候はなく、公式発表では、ヒトからヒトへの感染も確認されていないとされている。中国の当局は、3人の感染経路やウイルスの毒性、それにヒトへの感染力などについて分析を進めている。

違う非公式情報がこの先出てこないかが注目点

   中国発の新型感染症といえば、思い浮かぶのは2002年から2003年にかけて世界的に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)だ。今回の発表を当時と重ね合わせて警戒を呼びかける人もいる。

   「2月から発生していたものが、3月31日付けでまとめて発表というのがこの国(編注:中国)らしい」――03年当時、北京に駐在していた関西福祉大学の勝田吉彰教授(渡航医学)はこう話し、SARSのときと当局のやり口が同じだと指摘した。

   そして、当時の北京の様子を振り返り、「ささっと公安が出動して、疑い例や可能性例の住む住居周辺に黄色いテープを手際よく張って出入り禁止にして(感染と情報の拡散を)抑え込むのでしょう」と推測する。

   当時の中国政府は外部への情報公開を拒み、02年後半から感染は起こっていたのにもかかわらず、03年3月初旬までWHOの調査を受け入れなかった。海外から「患者隠し」の批判が強まってようやく感染者数および犠牲者数を大幅に上方修正した経緯がある。

   この対応を「感染症の発祥地でありながら、人命にかかわる重大な情報を隠ぺいする体質が、世界的な感染拡大を招いたことは明らかだ」と03年4月22日付の読売新聞社説は断じていた。勝田教授の見立てでは、今回も最悪、同じような事態が引き起こされる可能性があるというわけだ。

   ただ、03年SARSの時と違い、現在では中国でもインターネットが普及しているため、「微博(中国版ツイッター)」によってあっという間に情報が漏れ出すと勝田教授は見ている。その上で、こう述べた。

「公式発表で『ヒトヒト感染能はないものと思われる』とされているが、ヒトヒト感染が本当に無いのか、違う非公式情報がこの先出てこないかが注目点だ」
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