ブーム去って8年、低迷する泡盛にようやく復活の兆し

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   沖縄の「泡盛」の出荷量が低迷している。2012年は前年比0.5%減の2119万3975リットルで、ピークだった2004年から8年連続で減少。当時と比べると、23.5%も減少した。

   泡盛は、1990年代の沖縄ブームに乗って県外出荷を拡大、さらに2002~04年ごろの焼酎ブームと相まって「泡盛ブーム」を巻き起こしたが、それ以降はさっぱりだ。

減少傾向に歯止めがかかったのか

「泡盛」にようやく復活の兆し
「泡盛」にようやく復活の兆し

   沖縄県酒造組合が2013年3月25日に発表した12年の泡盛出荷量と製成(生産)数量(アルコール度数30度換算)によると、出荷量は前年比0.5%減の2119万3975リットル。このうち、沖縄県内への出荷は1794万7407リットルで0.7%減だったが、県外出荷はほぼ前年並みの0.1%増の324万6568リットルだった。

   ここ数年の全体の減少幅は3~5%台で推移してきたが、県外出荷がプラスに転じたことで0.5%まで縮小。この日、沖縄県庁で記者会見した酒造組合の平良正諭輝会長は「13年1月の出荷状況をみると、減少傾向は底打ちした」とみている。

   12年の出荷量を月ベースでみると、県内外とも8月以降は前年同月を上回っており、13年1月は全体で5.8%の増加だったという。

   また、製成(生産)数量は前年比5.7%増の2176万9051リットルで、7年ぶりに増加した。

   泡盛が減少している背景には、若年のアルコール離れや飲酒運転の取り締まり強化、景気の低迷などがあり、焼酎ブームの終焉とともに泡盛の出荷量も落ち込んだ。

   需要が伸び悩むなか、2010年度には泡盛の県外出荷の拡大に向けて販売をテコ入れを試みた。居酒屋などでも提供しやすい泡盛カクテルを開発、東京や大阪、名古屋など大都市圏で泡盛セミナーや試飲会・商談会を開催して、新たな顧客層の掘り起こしを図ってきた。

   酒造組合ではこうした取り組みが功を奏したとみている。減少傾向に、ようやく歯止めがかかってきたようだ。

「20年古酒」でも年数表示は「3年」?

   一方、泡盛の魅力は、甕やビンに入れ、年月をかけて「寝かせる」(熟成させる)ことで香りも甘くなり、口に含んだときの舌触りがまろやかになる「古酒」に育てていくことにある。沖縄県では「古酒」を好む人が少なくない。親甕(一番古い古酒)を飲んで、飲んだ分を次に貯蔵した年数が古い泡盛から「仕次ぎ」(つぎ足し)しながら飲み続けるという。

   そんな「古酒」は、現行の規定では3年以上熟成させた泡盛が全量の50%を超えていれば「古酒」と表記できる。ただ、古酒年数をきちんと表記した泡盛については、2004年6月から沖縄県酒造組合による品質表示の自主規制によって厳格化した。

   具体的には、「5年」と年数表記された古酒は、その全量が表示年数のあいだ熟成されたものではなくてはならないと規定している。つまり、「20年古酒」に少量でも3年古酒が「仕次ぎ」されていれば、その泡盛は「3年」としか表記できないことになる。

   琉球銀行の調べによると、04年の自主規制の1年後に古酒の銘柄が「終売」「休売」となった商品は古酒全体の半数を超える270商品に達したとしている。泡盛の出荷量が減少しはじめたのが04年ごろということもあり、品質表示の自主規制が影響したとみている。

   2012年3月には、泡盛古酒の不当表示が明らかになり、これを受けて沖縄県酒造組合は13年4月から公正競争規約の「古酒」表示基準を厳しくする。各酒造所は準備を進めているが、規約の適用には約2年半の猶予期間があるので、期間中は対応商品とそうでない商品が混在する。

   泡盛の酒造所の一部ではこうした「古酒」の表示が混乱を招き、出荷量に影響する、と懸念する向きがある。

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