「20年古酒」でも年数表示は「3年」?
一方、泡盛の魅力は、甕やビンに入れ、年月をかけて「寝かせる」(熟成させる)ことで香りも甘くなり、口に含んだときの舌触りがまろやかになる「古酒」に育てていくことにある。沖縄県では「古酒」を好む人が少なくない。親甕(一番古い古酒)を飲んで、飲んだ分を次に貯蔵した年数が古い泡盛から「仕次ぎ」(つぎ足し)しながら飲み続けるという。
そんな「古酒」は、現行の規定では3年以上熟成させた泡盛が全量の50%を超えていれば「古酒」と表記できる。ただ、古酒年数をきちんと表記した泡盛については、2004年6月から沖縄県酒造組合による品質表示の自主規制によって厳格化した。
具体的には、「5年」と年数表記された古酒は、その全量が表示年数のあいだ熟成されたものではなくてはならないと規定している。つまり、「20年古酒」に少量でも3年古酒が「仕次ぎ」されていれば、その泡盛は「3年」としか表記できないことになる。
琉球銀行の調べによると、04年の自主規制の1年後に古酒の銘柄が「終売」「休売」となった商品は古酒全体の半数を超える270商品に達したとしている。泡盛の出荷量が減少しはじめたのが04年ごろということもあり、品質表示の自主規制が影響したとみている。
2012年3月には、泡盛古酒の不当表示が明らかになり、これを受けて沖縄県酒造組合は13年4月から公正競争規約の「古酒」表示基準を厳しくする。各酒造所は準備を進めているが、規約の適用には約2年半の猶予期間があるので、期間中は対応商品とそうでない商品が混在する。
泡盛の酒造所の一部ではこうした「古酒」の表示が混乱を招き、出荷量に影響する、と懸念する向きがある。