アベノミクス効果による円安で、2013年4月以降、さまざまなものが値上がりする。
電気・ガス、小麦や食用油、「シーチキン」にトイレットペーパーやティッシュペーパー、宝飾ブランドの「ティファニー」なども値上げに踏み切る。輸出企業には追い風でも、輸入品には「副作用」となる。
電気料金は「まだ上がる」
電気・ガスの値上げは深刻だ。電力10社と都市ガス大手4社は2013年3月28日、5月の料金を値上げすると発表した。円安の進行で液化天然ガス(LNG)や原油の輸入価格が軒並み高騰を続け、4月に続いて2か月連続の一斉値上げだ。
5月の料金は12年12月~13年2月の平均燃料価格から算出。12年11月~13年1月と比べてLNGは7.5%、原油は4.4%、石炭も4.3%とそれぞれ高騰。原燃料価格の変動を料金に反映させる原燃料費調整(燃調)制度に基づいて値上げする。
電気料金は、再生可能エネルギー全量買い取り制度に伴う上乗せ分も5月から増額となる見通しで、その分値上がりする。さらには、関西電力と九州電力は料金体系そのものを見直し、国に認可を求めているところ。認められれば、5月にも値上げする予定だ。
東北電力や四国電力も値上げ申請、北海道電力も申請を表明している。
一方、国が輸入して製粉会社に売り渡す小麦の価格が4月1日から平均9.7%引き上げられることに伴い、製粉最大手の日清製粉は6月20日の出荷分から業務用の小麦粉を値上げする。
円安による輸入価格の上昇とともに、小麦の国際価格の上昇が原因だ。値上げ幅はパンの材料になる強力系小麦粉が25キログラムあたり145円、うどんや菓子の材料になる中力系・薄力系小麦粉で215円、国内産小麦100%の小麦粉で170円。家庭用の小麦粉も4月下旬に値上げを打ち出す見通しという。
値上げは12年12月以来ということもあり、食品メーカーや小売店がどこまで応じるかは不透明だ。とはいえ、材料コストが上がれば、パンやうどんの価格に転嫁されることになる。
また、日清オイリオグループとJ‐オイルミルズは4月1日の出荷分から食用油を値上げ。値上げ幅は、大豆や菜種を原料とする家庭用が1キログラムあたり30円以上、業務用が1缶(16.5キログラム)あたり500円以上。食用油の値上げは半年ぶりだが、上げ幅はそれを上回る。