生活保護の不正見抜けずと1億賠償命令 滝川市幹部への判決、妥当か否か

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介護タクシーに1回20万円以上は不自然

   不正受給の夫婦は、実際には札幌市内で他人名義のアパートも住居に使っており、滝川市から通院していた実態もなかった。タクシー会社の役員も共謀していたことが分かっている。

   とはいえ、たとえ通院の実態があったとしても、介護タクシーに1回20万円以上も支払うのは不自然だ。

   ある生命保険会社の広報担当者は、「加入した保険に通院特約があっても、限度額など条件がいろいろあり、20万円の満額にはならないはず。入院を何日かしないと通院が支払われないこともありますし」と首をひねる。

   受給者で通院費をほとんど支払えないとしても、なぜ公共交通機関を利用したり、転院・転居したりしてもらわなかったのかという疑問がある。

   滝川市の福祉課では、交通機関利用がなかったことについて、こう説明する。

「夫は、一種一級の身障者手帳を持っており、大学病院の医師に聞いても利用は難しいとのことでした。血中の酸素濃度が低い『肝肺症候群』という病気で、酸素を吸入しながら車いすで移動しており、安静が必要だと言っていました」

   ただ、まったく歩けないわけではなかったという。

   転院については、医師はこの大学病院に通うのが適当だと言っていたとした。また、札幌市への転居については、夫婦は「子どものいじめが原因で滝川市に来たので戻れない」と主張したそうだ。

   しかし、札幌市内のほかの学校へ子どもが転校することは拒否したという。福祉課では、「あくまでも居住地を選ぶのは本人で、命令する権利はありません」と言うのみだった。

   元暴力団組員だったことについても、「強要したり怒鳴り声を上げたりすることもなかったですし、大声を出すお年寄りなどと対応は同じです」と、怖かったことを否定している。

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