「新聞にだって意味が見いだせない部分があっていい」
では、当の作者はどのように考えているのか。作者の小阪さんに尋ねた。
まず、「読めない記事」という今回の作品の趣意について、小阪さんはこう語る。
「世界なんて意味を見いだせないことのほうが多いのですから、世相を表す新聞にだって意味が見いだせない部分があってもいいのではないかと思います。わかることよりも、わからないことのほうが素晴らしいと感じる時もあります」
また「塔」のイラストだが、実はこちらは11年5月の同欄に、「倒壊前」の画像が掲載されていた。今回の画像はいわばその続編といえる。これについては、
「約2年前に倒壊前のイメージを掲載しました。作ったものは壊れるのが道理です。そして作ることと、壊れることは、あまり差のない現象です。視点が違うだけです」
バベルの塔、原発、暗号などとさまざまな解釈が出ているが、「正解」はあるのだろうか。この問いに、小阪さんはこう答える。
「あらゆる推測すべてが正解です。私は、ご覧になられた皆さんに正解を教えていただいているわけです。とてもありがたいことです。それは今回の作品だけでなく、本シリーズ全体を通して言えることでもあります」