「【速報】朝日新聞19面が何かヤバい」
「今朝の朝日新聞は暗号で書かれていた」
「ついに朝日新聞が壊れた」
こんなつぶやきが2013年3月28日朝、ツイッターを駆け巡った。
何があった?――朝刊を開いてみると、確かに奇妙な文字列が踊っている。ひらがなや漢字に似ているようだが、私たちが知るそれとは明らかに違う。
まさか印刷ミス? 文字化け? それとも何かの事件か――?
震災風化を憂う文章の「挿絵」として掲載
28日朝刊のオピニオン面には、月1回の「論壇時評」枠として、作家の高橋源一郎氏による「あの日から2年 忘れさせる『力』に逆らう」と題した文章が掲載された。タイトルに「あの日」とあるのは、もちろん東日本大震災を指す。
上記の「記事」は、その一角に掲載されたものだ。文字組み、見出し、そして画像といった構成は、一見すると通常の記事にも見える。
しかしそこに並ぶ「文字」は、文字のように見えて文字ではない、不思議な記号ばかり。既存の漢字やひらがなのパーツが使われているが、とても「読める」ものではない。また「記事」に添えられた「写真」も、4つの壊れた塔のようなものが並ぶ、どこか不気味な印象のものだ。旧約聖書にある「バベルの塔」が連想される。
種明かしは、その左側に記されている。実はこの「記事」は「論壇時評」の挿絵として描かれたCGアート作品なのだ。タイトルは「疎通」で、作者はデザイナーの小阪淳さん。「現代社会をイメージした作品です」とのただし書きがされている。