対馬市議会が「日韓海底トンネル」推進決議 建設には7兆8000億円、採算取れるのか

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   韓国からの往来が多い長崎県対馬市の議会が、日本と韓国とを結ぶ海底トンネルの早期建設を政府に対して求める意見書を可決した。

   この構想自体は古くからたびたび提唱されてきたが、自治体として推進を求めるのは異例だ。だが、トンネル建設は経済面で合理的ではないという試算もあり、現時点では実現性に乏しいのが実情だ。

英仏海峡トンネルを例に島国と大陸を結ぶ意義を強調

海底トンネルが完成すれば韓国側は釜山に抜けるとみられる
海底トンネルが完成すれば韓国側は釜山に抜けるとみられる

   市議会では、2013年2月に長崎市の任意団体「日韓トンネル推進長崎県民会議」から請願を受け、産業建設常任委員会で審議を行ってきた。意見書は同委員会から本会議に付託され、2013年3月26日に採択された。議場からは特に異議を唱える声はなかったという。対馬と韓国は、対馬の寺や神社から盗まれた仏像の返還問題をめぐってぎくしゃくした関係が続いているが、意見書の採択には表だった影響はなかったようだ。採択された意見書では、

「対馬には、初代の対馬藩主、宗義智(そう・よしとし)が、朝鮮出兵で悪化した日韓関係を必死の努力によって回復し、両国の平和の架け橋となったという歴史がある。ドーバー海峡をつなぐ英仏海底トンネルは、ナポレオンの提案以来、191年もの歳月をかけて、国家間の確執を乗り越え、島国イギリスとヨーロッパ大陸を結び、欧州共同体(EC)実現の象徴となった」

と、英仏海峡トンネルを例に、島国と大陸をトンネルで結ぶことの意義を強調。

「トンネルが完成し、人の流れと物の流れが拡大すれば、日本・韓国から中国へ広がる経済圏が強化され、東アジア全体の経済発展へと貢献していくことは間違いない」

という記述もあり、かなりスケールの大きな構想だ。

   トンネルは、日本側は佐賀県唐津市か福岡市を起点に、壱岐や対馬の地上部分を経由し、韓国側は釜山市か近郊の巨済島(コジェド)に抜ける。このようにいくつかバリエーションはあるが、総延長が210キロ~230キロ、海底部分が130~145キロを想定している。なお、世界最長の海底トンネルとして知られる青函トンネルの全長は53.85キロ。単純に計算しても、青函トンネルを2つ以上新たに建設するだけの大工事だ。青函トンネルの建設費は5384億円(計画ベース、実際は7400億円以上)で、「昭和3大馬鹿査定」のひとつとして揶揄された。

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