消費者庁は2013年度から育児休暇を取った職員を昇進、昇給で有利に扱うことにした。この方針に、ネットでは賛否が真っ二つに分かれている。
賛成派は子育てがしやすくなり今以上の待遇が保証される、と喜んでいるが、「子供がいない社員を差別することになる」「そもそも休んで出世する意味が分からない」といった具合だ。
「子供を作ると得にならなければ少子化は止まらない」
森まさこ内閣府特命担当大臣は2013年3月19日の記者会見で、消費者庁において育児休暇を取った職員に対し、不利益な取扱いをしないだけでは不十分だとして、
「人事評価でプラスとする人事評価制度に改正した」
と発表した。育児休暇を取ることは、生活者の実態を知ることが出来て効率的な業務運営に役立つため、職場環境も良好になる、という触れ込みだ。また、休みを利用し資格などを取得することも可能だから、休みの間に何をしたかを自己申告させ、昇進や昇給につなげていく、というのだ。
この報道が流れるとネットでは、育児休暇制度改正の賛否を巡った大議論に発展した。「ヤフーニュース」でも「育休取得でプラス評価に賛成?反対?」調査が13年3月19日から行われ、3月27日18時までに11万5000票を超える回答があった。結果は今のところ賛成が43%、反対が46%とほぼ拮抗している。
賛成派の意見としては、
「子供作ったほうが得くらいにしないと少子化なんか止まらないよ」
「育児は社会的に意味の大きい行為。暮らしやすい社会があってこその経済成長でしょ?良いと思います」
「問題は、育児休暇を取ると評価が下がりがちだから、それが障害になってることなんだよ」
といったコメントが書き込まれている。
「仕事の評価は、仕事でしろ。それが原則だろうが」
一方、反対派はというと、
「子供が欲しくても作れない夫婦はどうする?明らかに差別じゃねえかよ」
「育児休暇をとって、職場に迷惑をかけた人間が勝ち組というのはおかしい」
「仕事の評価は、仕事でしろ。 それが原則だろうが」
などといったものがある。
人材コンサルタントの常見陽平さんはこの消費者庁の人事評価制度改正について、
「育児休暇に企業や社員が今後どう向き合うか、そういった関心を高める取り組みとしては評価しますが、だからといって育児休暇を取る人がこれで増えるとは考えられません」
と分析する。
日本の「風土」としては、育児休暇を取って復帰すると、これまでやってきた仕事を別の人が担当しているため、キャリアが途絶えたり、初めから部署の移動を前提に休暇が与えられていたりする。そのため休むことは不安を伴うし、そもそも育児休暇以前に、結婚や出産を遅らせている人が多いというのが現状だ。常見さんは、
「つまりはこうした風土を変えることが先決で、制度を変えるのはその次だということなんです」
と話している。