対馬市は、「国の支援があれば」と言うが…
島を訪れる韓国人は、1998年に300人ほどだったのが、韓国資本の進出がクローズアップされた2007年に約6万5000人に膨れ上がった。そして、12年になると、それが約15万人にまでアップしたのだ。これは、島の人口約3万4000人の4倍以上に当たる。
その理由について、対馬市の観光物産推進本部では、海の定期航路が増えたことが大きいとみる。
「韓国の船会社1社だけだったのが、11年10、11月にそれぞれ日本と韓国の船会社が参入し、計3社体制になりました。競争激化を受けて、運賃が安くなり、一気に観光客が増えました。韓国の方々は、日帰りで来て、免税店に寄ることが多いですね」
円安が進めば、さらに来やすくなって、場合によっては、13年は15万人を突破する可能性があるそうだ。
韓国進出への不安から、ネット上では、韓国の定期船を中止し、中学や高校の修学旅行を誘致したりすればよいとの意見が出ている。しかし、観光物産推進本部では、「うちは自然と歴史がセールスポイントですが、同じところは日本全国にたくさんあります。国などの支援があれば助かるのですが…」と言う。
対馬市は、観光や産業などの振興や国境警備の強化などを盛り込んだ「国境離島特別措置法(仮称)」制定を求める要望書を4、5月にも国に出したい意向だ。市議会では、12年末にその制定を求める意見書を可決している。とはいえ、国交省や内閣官房の担当部署に取材しても、法案についてはまだ検討もしていないと、素っ気ない反応だった。