IOC会長自ら「東京不利」を否定
「五輪憲章」第5章には、開催都市の決定に関する規定が書かれている。開催年の7年前に選定が行われる、IOCに開催都市として申請する際には、その国の五輪委員会の承認が必要、ひとつの国から複数の都市が立候補できない、といった内容だ。IOCは申請が出された都市から1次選考で「候補都市」を選出、IOC会長に任命された評価委員会メンバーが会場視察を含む調査を行い、その報告を受けてIOCが開催都市を決定する流れになっている。
しかし五輪憲章の中には、同一地域から連続しての開催都市選定を回避するといった規定の文言は見当たらない。2018年冬季大会が平昌に決定した2011年7月時点で、東京はまだ2020年夏季大会開催地として正式に申請をしていなかったが、IOCのジャック・ロゲ会長は2011年7月14日、日本外国特派員協会で講演した際に、平昌での冬季五輪開催が2020年夏季大会のアジアでの開催に不利にならない考えを示した。アテネ夏季大会とトリノ冬季大会のように、欧州での「連続開催」を例示して「求めるのは質であって、『大陸』ではない」と発言。地域性を問題視しないことを明言したのだ。
実際に東京は、2012年2月13日にIOCへの申請を受理され、今日まで「最終選考」に残っている。
久米さんがラジオ番組で言及した「米国でのテレビ放映」に関連する利害が開催地の決定にどう影響するかは不明だ。ただ、IOC会長自ら「東京不利」の見方を否定したこともあり、アジア初の冬、夏続けての開催も実現性はあるとみられる。