花粉症の元凶「スギ」 「すべて伐採」なぜしないのか

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間伐を進め、枝打ちして花粉発生量を抑える

   自治体レベルでも、花粉対策として森林整備に乗り出しているケースがある。

   東京都の場合、森林面積全体のスギ・ヒノキが占める割合は40%に上る。2010年度版「東京の森林・林業」(東京都産業労働局)によると、森林の約7割が西部の多摩地域にあり、人工林は約3万ヘクタールだ。都では2002年、木材の価格下落で手入れが行われず荒廃が進んでいる人工林を対象に、「森林再生事業」を始めた。森林所有者と25年間の協定を結び、都が全額を負担して間伐を進めてスギやヒノキを減らすのと同時に広葉樹が増える環境を整えるのが目的だ。

   さらに2006年からは10年間の計画で「花粉発生源対策」をスタート。間伐した後、残った木々を枝打ちして花粉発生量を抑え、花粉の少ないスギを植林する。都環境局に取材すると、2012年度までに間伐した人工林の面積は5700ヘクタール、枝打ちしたのは900ヘクタール分に達したと話した。

   都環境局では、都内の花粉飛散量とスギやヒノキの間伐や枝打ちの実績との因果関係を調査していないとのことで、現時点でどこまで効果が表れているかは分からない。全国的にみても、3月19日付のウェザーニューズ社の調査では今シーズン花粉症の症状が例年より重いと答えた人が全体の43.3%に上ったという。都道府県別で東京は8位となった。徐々に対策は進んでいるが、花粉を一掃する「特効薬」とまではいかない。効果を実感できるまでしばらくは我慢の時が続きそうだ。

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