今回の春闘は2013年3月13日、自動車・電機メーカーの集中回答日を過ぎ、山場を越した。給与体系を底上げするベースアップ(ベア)はもともと組合側が要求しておらず、一時金(ボーナス)が焦点だったが、自動車大手を中心に満額回答が相次いだ。
安倍晋三政権の経済政策(アベノミクス)で期待された報酬増が一応は果たされた格好だ。だが、業績格差が大きい電機業界で足並みがそろわなかったほか、中小企業や非正規従業員への広がりは限定的で、多くの人が報酬アップを実感できるかは不透明だ。
トヨタは組合要求通り、「年間一時金205万円」と満額回答
春闘相場に最も影響力を持つとされるトヨタ自動車は、組合の要求通り、「年間一時金205万円」と満額回答した。自動車大手8社ではマツダを除く7社が満額回答。マツダも12年支給実績に比べれば1カ月分(基本給)のアップだ。
輸出産業の4番バッターである自動車はアベノミクスの恩恵を受ける代表的な業界だ。2月上旬までに各社が発表した、安倍政権発足後の円安傾向による営業利益の押し上げ効果は2013年3月期に8社で計3000億円程度にも上る。安倍首相や麻生太郎財務相から国会審議などを通じて重ねて「業績の良い企業は従業員の報酬アップを」との要請が発信されているのを無視できない立場にあった。実際、回答を終えて13日に会見したトヨタの宮崎直樹常務役員は「(安倍政権の要請は)重要な判断要素の一つと考えている」と述べた。
電機産業も円安は業績回復に効果があるものの、個別の業績はまだら模様で、それが春闘の回答にも反映した。経営再建途上のシャープの組合は、主要メーカー労組が参加する「電機連合」の統一要求(年間一時金は最低で基本給4カ月分)も無理と判断し、初めて離脱した。