ファンド側は廃止・売却の提案を否定するが…
サーベラスのコミュニケーション担当者は、取材に対し、秩父線などの廃止や球団売却を求めたことを否定した。
「数十ある経営上の検討課題のうち、鉄道路線や球団運営はどうするのかを、テーマとして挙げただけです。こちらが決めることはできませんので、経営陣とこれから議論しようということです。細かい表現までは存じ上げていませんが、経営効率を上げるうえで様々なオプションがあるということになります」
TOBについても、西武ホールディングスの議決権を持ったり買収したりする目的を否定した。
「追加の投資をして、コミットメントを強めようというだけです。取締役の派遣を提案したのも、経営ガバナンスを改善するためでした。法制度上、TOBの形を取らざるをえなかったということで、会社をコントロールしようということではありません」
一方、西武ホールディングスの広報部では、「一株主について、基本的には個別のやり取りはお話ししていません」とコメントしている。
国際金融アナリストの小田切尚登さんは、サーベラスの狙いについてこうみる。
「外資系ファンドには、短期的な利益を目指す例も多いので注意が必要ですが、長期的な利益を考えて言っているケースももちろんあります。株式の持ち合いが多い日本では、お互いに依存してあまり厳しいことを言わず、なあなあになる傾向も見られます。しかし、外資は、大元の投資家がいますので、市場原理を考えて企業にプレッシャーをかける場合も多いです」
西武側に対しては、こう指摘する。
「鉄道なら、バスでの代替策を考えるなどもっと合理化を、球団なら、ルーズな経営感覚を正すことを、それぞれ求められているんだと思います。経営者は、株主の要求が厳しいことを念頭に置かなければなりません。ダメならはねつければいいわけですが、経営者自身がきちんと説明しなければ、提案を実行することも仕方がないということになってしまうわけですよ」