北朝鮮が挑発をエスカレートさせている。過去に同じようなパターンが何度も繰り返されてきたが、今回は「様子が違う」と注視する専門家は少なくない。
日本や韓国、米国に対して「核戦争」をちらつかせ、緊張をあおっている。指導者の金正恩第1書記の真意が見えないため、「経験の浅いリーダーが事態を悪化させる」との懸念も出ている。
祖父・金日成、父・金正日よりも行動がわかりにくい
「全面戦争に向けて軍の準備はできている」
「日本も核の先制攻撃の例外ではない」
「最終決戦の時が来た」
北朝鮮の国営メディアや、朝鮮労働党の機関紙から流れてくる威圧的な言動は、日を追うごとに激しくなっている。3度目の核実験を強行した後、国連安保理で2013年3月7日に北朝鮮に対する制裁強化が決議され、11日から米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」が始まると、朝鮮戦争の休戦協定を白紙化すると一方的に宣言した。
行動も過激さを増している。韓国政府関係者によると3月15日、短距離ミサイル2発を日本海に向けて発射した。無人攻撃機とミサイル迎撃訓練を行い、金正恩第1書記が立ち会ったと20日の朝鮮中央テレビが伝えたという。
ポーズだけか、本気なのか――。「ニューズウィーク日本版」3月26日号では「金正恩の暴走」と題した特集を組み、北朝鮮の動きは過去と比べて、より深刻になっているとの見方を紹介した。不安材料として挙げられたのが、「金正恩がどういう人物なのかがいまだに分からない」点だ。経験のないまま党と軍を指揮する立場となり、学ぶ時間はほとんどなかった金氏は「行動が読みにくく、時にはまったく読めないこともある」という。例えば米国と、ミサイル発射計画の中止と引き換えに食料支援を得る合意をしたにもかかわらず、食料が輸送される前にミサイル発射実験を行い、約束を反故にした。「強気過ぎて、計算を誤っているように思える」と推測、それにより戦争につながりかねないと危惧する。
北朝鮮問題に詳しいソウル在住の韓国人ジャーナリストも、J-CASTニュースの取材に対して「(金正恩氏という)若くて不安定な北朝鮮のトップがどんな動きをするのか、予測するのは大変難しい」と打ち明ける。祖父の金日成氏や父の金正日氏(いずれも故人)よりも「行動が分かりにくい人物」で、韓国の専門家たちを悩ませているようだ。