「炭水化物抜けば食べ放題」ダイエットに待った 糖尿病学会「現時点では、勧められない」

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   「腹いっぱい食べて楽々痩せる」といったうたい文句で人気を博している「低炭水化物ダイエット」に、日本糖尿病学会が「待った」をかけた。

   糖尿病の治療としてはさまざまな証拠が不十分で、むしろ悪影響の出るタイプの患者もいるという。同学会では「ご自分で判断なさらず、主治医や専門医の指導を受けてほしい」と呼びかけている。

総エネルギー摂取量の制限が最優先

   低炭水化物ダイエットとは、食事のうちご飯やパンなどの炭水化物を減らすことで、減量するダイエット方法の一種だ。「低糖質」「糖質制限」とも呼ばれていて、体重を適正にするための「食事療法」として、糖尿病の治療の一環に取り入れられている場合がある。

   一部では「腹いっぱい食べて楽々痩せる」「酒呑み、肉三昧でも一生太らない食べ方」などとうたう医師もおり、「糖質制限ダイエットで何の苦もなく糖尿病に勝った!」などと、書籍やテレビなどでさかんに喧伝されていた。「とにかく炭水化物の摂取さえしなければ、好きなものをいくら食べてもいい」という手軽な印象が、多くの人の関心を引いたようだ。

   これに対して、日本糖尿病学会は2013年3月18日、糖尿病に限った話としつつ、こうした「総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量しようとする」食事制限に、警鐘を鳴らす提言を発表した。

「体重の適正化を図るためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない」

   つまり、「糖質制限」は減量効果はおろか、長期間続けられるかどうか、あるいは他の問題を引き起こすリスクはないかといった点についても、現時点では、証拠(エビデンス)が揃っていないということだ。

糖尿病学会「専門医の指導を受けて」

   ただ、糖尿病学会は「低炭水化物ダイエット」を真っ向から否定しているわけではない。担当者は「良い悪いではなく、日本でのエビデンスの集積がまだないので、これからしていきますという話です」と説明した。実際、糖尿病学会にも糖質制限を患者の治療に取り入れている医師はいるという。

   提言の「糖尿病における炭水化物摂取について」の項目もこう結んでいる。

「欧米の研究においては対象となるBMIは30~35以上のことが多く、肥満度の異なる日本人の糖尿病の病態に立脚した適正な炭水化物摂取量については、いまだ十分なエビデンスが揃っているとは言えない。社会的なコンセンサスを得る上においても、今後日本糖尿病学会として積極的に調査・研究の対象とすべき課題である」

   そんな中で、今回あえて提言を発表したのは、「(糖質制限を)してはならないタイプの患者さんもいる」ことから、「極論」の広がりに「警鐘を鳴らした」意味合いがあるそうだ。

   とりわけ危惧しているのは、本や報道、ネットの情報などを鵜呑みにして、勝手に判断・糖質制限を開始してしまう患者が出てくることで、

「ご自分で判断なさらず、主治医や専門医の指導を受けてほしい」

と呼びかける。

   また、糖質制限の治療を受けようか迷っている患者らに対しては、「(糖尿病学会の)専門医をつけて、セカンドオピニオンを受けたほうがよろしいかと思います」と話していた。

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