糖尿病学会「専門医の指導を受けて」
ただ、糖尿病学会は「低炭水化物ダイエット」を真っ向から否定しているわけではない。担当者は「良い悪いではなく、日本でのエビデンスの集積がまだないので、これからしていきますという話です」と説明した。実際、糖尿病学会にも糖質制限を患者の治療に取り入れている医師はいるという。
提言の「糖尿病における炭水化物摂取について」の項目もこう結んでいる。
「欧米の研究においては対象となるBMIは30~35以上のことが多く、肥満度の異なる日本人の糖尿病の病態に立脚した適正な炭水化物摂取量については、いまだ十分なエビデンスが揃っているとは言えない。社会的なコンセンサスを得る上においても、今後日本糖尿病学会として積極的に調査・研究の対象とすべき課題である」
そんな中で、今回あえて提言を発表したのは、「(糖質制限を)してはならないタイプの患者さんもいる」ことから、「極論」の広がりに「警鐘を鳴らした」意味合いがあるそうだ。
とりわけ危惧しているのは、本や報道、ネットの情報などを鵜呑みにして、勝手に判断・糖質制限を開始してしまう患者が出てくることで、
「ご自分で判断なさらず、主治医や専門医の指導を受けてほしい」
と呼びかける。
また、糖質制限の治療を受けようか迷っている患者らに対しては、「(糖尿病学会の)専門医をつけて、セカンドオピニオンを受けたほうがよろしいかと思います」と話していた。