楽天グループが新規事業として本格的にスタートさせた、生鮮食品や日用品などの通信販売の「楽天マート」がトラブルに見舞われた。
2013年3月11日~13日にかけて、注文した商品が指定した時刻になっても届かなかったり、コールセンターに連絡してもつながりにくくなったりした。
「想定をはるかに超える注文」が原因
楽天は3月16日、WEB上に謝罪文「配送の不手際に対するお詫び」を掲載した。それによると、11日~13日に楽天マートに注文があった商品に、大量の遅配や未配達が発生。「商品を完全に調達できない可能性がある」ことから、受注した商品をキャンセルし、配送作業を停止した。
未配送先の利用者に対しては、商品代金や配送料を無料にしたうえで、1000ポイントの楽天スーパーポイントを付与。たとえば、5000円分の商品を購入した利用者には合計で6000ポイントを「返還」し、再利用してもらうよう促した。クレジットカード決済の利用者には返金処理する。
楽天は、「商品を楽しみに、期待して利用していただいたのに、それを裏切ることになり、申し訳ありません」と話している。
混乱は配送エリアをこれまでの17区市から、東京都や神奈川県、千葉県や埼玉県の71区市に拡大した初日の3月11日、「これまでの数倍もの、想定をはるかに超える注文で商品の調達や物流の手配ができなくなった」ために起こった。
それにより、約束した配達日に商品を届けられなくなった。翌日も注文が殺到し、11日に届けるべきだった商品を再配達するための配送と、当日の注文を届けるための配送が重なって事態が悪化した、と説明している。
コールセンターにも「これまでの3倍の要員を配置」していたが、利用者からの電話が増えたため、迅速に対応できず、「接客面でも多大なるご迷惑をおかけしたと認識している」という。また配送の遅延も連絡できず、「逆にお客様からご連絡を頂くという悪循環を招いた」としている。
楽天は、「ご迷惑をおかけした利用者へのポイントの付与などの対策をとりながら、人員配置などを含め体制を強化し、整えたことで3月14日以降は通常の運営体制にほぼ戻っています」と話している。
「キャンセルしたのに、商品が届いた」?と大混乱
一方、インターネット上には、
「指定した時間に届かない、確認しますと言ったきり折り返しが無い、問い合せが繋がらない。ずっと外出できず、1日無駄にした」(40歳代の女性)
「お届けの見込みがつかないのでキャンセルしてほしいと言われて、キャンセルして買い物に出たら、その間に届けに来たらしく不在の留守電が入っていた。本当に訳がわからない」(40歳代主婦)
との声が並び、混乱ぶりがうかがえる。
「楽天マート」は、「食への安全」に力を入れているほか、楽天自らが商品の仕入れ・販売を手がけ、専用の物流センターを設置して各家庭へ、注文の翌日には商品を配送するスピーディーさが「売りもの」でもあった。
利用者の多くは小さい子どもを抱える主婦層や、多忙で買い物に行けないビジネスマンだが、シニア向けにはカタログを配布し、ネットだけではなく電話でも注文できるサービスも用意するなど、工夫していた。