貴金属から原油、農産物まで幅広く商品先物を取引する「東京商品取引所」(東商取、東京都中央区)が2013年2月12日、スタートした。東京工業品取引所が、近く解散する東京穀物商品取引所から大豆など農産品4品目を引き継いで名称変更した。
東穀取からコメを引き継いだ関西商品取引所も同時に「大阪堂島商品取引所」に改称し、国内で唯一コメ先物を扱う取引所として発足、国内商品先物市場は東京、大阪の二元体制に集約された。だが、実態は経営不振の末の、生き残りのためのギリギリの統合で、先行きの展望を切り開くのは容易ではない。
経産省と農水省のおいしい天下り先だった
商品取引と言うと、素人にはややリスキーなイメージが付きまとう。商品先物業者による個人への勧誘規制の強化などが続いたこともあって取引は低迷、2012年の国内の売買高は2729万枚(1枚=最低取引単位)と、10年で5分の1に落ち込んだ。
従来、工業品と農産品を扱う取引所はそれぞれ経産省と農水省のテリトリーとしてすみわけ、おいしい天下り先だった時代もあるが、1970年代の全国20もあった商品取引所がが、今回の再編で2つになる。
東工取との統合を頑なに拒んできた東穀取も、ついに白旗を挙げた形だ。堂島のコメだけ残し、農水省のメンツを何とか保った形だが、関西商取の昨年の売買高が国内の1%未満で、存続の意義を疑う声が強い。
一方の東工取にしても、2012年の取引高はピークの2003年の3割程度に低迷しており、2011年度まで4期連続赤字を計上し、決してほめられる状況ではない。
商品取引自体が極度の不振に陥っている中、市場活性化のためには抜本策が欠かせないが、その見通しは不透明だ。