トヨタ新体制、創業家のグリップ強化 初めて社外取締役も導入、透明性高める

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   トヨタ自動車の4月以降の役員新体制が決まった。2013年3月6日の発表によると、内山田竹志副会長(66)が会長に昇格、張富士夫会長(76)は名誉会長に就任して豊田章一郎氏(88)とともに名誉会長は2人体制になり、豊田章男社長(56)をサポートする。

   トヨタとして初の社外取締役も導入し経営の透明度を高めるが、より創業家のグリップが効いた体制と見ることもできそうだ。

「渡辺排除」がほぼ完了

   トヨタは奥田碩氏が1995年に社長に就任以降、張氏、渡辺捷昭氏と3代にわたって創業家以外の幹部が社長を務めてきたが、2009年に豊田章男副社長が社長に昇格して「大政奉還」が実現、6人目の創業家社長が誕生した。

   章男社長の就任後に進められたのが、前社長の渡辺氏の影響力の排除だ。渡辺社長は2005年に就任以降、過去最高益を更新し続け、業績を急拡大させた立役者でもあったが、リーマン・ショックが直撃した2009年3月期に大赤字になった責任を取らされるような形で2009年に退任し、副会長に就いた。今回、名誉会長就任が決まった張氏も副会長を経て会長に就いているので、副会長就任が即、「降格」とは言えない。

   しかし、渡辺氏は会長に就けないまま2011年に相談役に退き、張氏が会長を続投。「渡辺派」とみなされた幹部が前後してトヨタを去ったことも周知の事実だ。任期満了とはいえ渡辺氏が今年6月に経団連副会長を退任し、後任に内山田新会長が就くことで、対外活動を含め「渡辺排除」はほぼ完了することになる。

   一方、章男社長は新体制発表の会見で(社長交代でもないのに会見すること事態異例だが)、張氏の名誉会長就任について「豊田(章一郎)名誉会長は80代、張さんは70代、内山田さんは60代、私が50代。各年代の厚みのあるコミュニケーションがとれ、バランスがとれる」と指摘した。

   また、「私には2人の親父がいる」と述べ、実の父親である章一郎名誉会長とともに内山田氏を挙げたうえで、「内山田・豊田体制で(内山田氏に)大所高所からのアドバイスを期待している」と語った。「張さんはトヨタ生産方式の第一人者でもある」とも述べ、張氏が今後もトヨタ生産方式の伝承を担う役目を担うとした。

重要人事は相談して決定?

   50代~80代までの「各年代のコミュニケーション」とまで社長が会見で説明するということは、この4人が幹部人事のような重要事項を相談して決定するように聞こえなくもない。実際、漏れ伝わるところではそんな気配もあり、「大政奉還」が首尾良く完成したことをうかがわせる。

   一方、意外にも社外取締役がこれまでいなかったトヨタが初めて3人の社外取を起用する。日本生命保険の宇野郁夫相談役(元社長、会長)、元米ゼネラル・モーターズ(GM)副社長のマーク・ホーガン氏、加藤治彦証券保管振替機構社長(元国税庁長官)。国内外のバランスもとったようだが、世界のトヨタにどこまでもの申せるかは未知数。起用理由を「より開かれたというように周りからも思われる体制が必要」(章男社長)と言うのは、創業家経営の強まりを意識し透明性を演出したと見るのは、うがちすぎだろうか。

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