予備校なしでも合格できるようサポート 東大合格者数で躍進する東京公立中高一貫の秘密

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中3生全員で東大訪問、「東大は遠くない」と感じさせる

「適性検査のランキングでは高くないですが、中で能力を伸ばす学校です」

   都立白鴎高校の副校長はこう胸を張る。同校は偏差値では確かに先の6校中では最下位。ところが東大合格者数となるとトップだ。公立中高一貫では入学試験として、考える力をはかる「適性検査」を課す。

「入学から2年は独立の校舎で、日本の伝統と文化を学び、礼法や服装など、基本的な生活習慣・学習習慣を身につけます。2年生で『最上級学年』の自覚をもった上で、3~6年生の過ごす校舎に進んで、東大などの難関大学を目指す先輩の姿を見る。中高一貫では中2~3が中だるみの時期と言われますが、ゆっくりするヒマがないわけです」

   選抜コースの設置はなく、玉石混合。「中3の時に全員で東大を訪問します。白鴎のある台東区浅草と東大のある文京区本郷が距離的にも近いことを知って、『東大は遠くない』と感じてもらえれば」と話す。

   また、学費が安くあがるのも魅力だ。夏休みなど長期休暇中には講習を実施するほか、教員等が質問に答え、予備校に行かなくても東大に合格できるだけのサポートを用意する。「(教員たちは)倒れるかなってくらい忙しい」と笑う。

   ただ、こうした取り組みはあくまでキャリア教育の一環だという。生徒に国公立志望が多いため、ニーズに応えている格好だ。

   講習等の設置は、すでに成果の出ている都立西や日比谷といった進学指導重点校にならい、他の中高一貫校でもおこなわれている。さらに、2期生から2名の東大合格者が出た九段中教の副校長は、12年度に「入試が近くなるとメンタルがまいってしまう生徒がいる」という経験を踏まえ、13年度はメンタルケアを導入したと話す。このほか、入試に向けた進路指導を強化するなど、毎年改善に努めているそうだ。

   こうしたきめ細かく手厚いケアが安価で受けられるとなれば、進学指導を売りにする私立の中堅中高一貫校にとっては脅威かもしれない。

(2013年3月17日追記)

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