広がる物件価格の「底打ち感」
いま、東京都心の不動産が注目されているのは、円安効果で価格が割安なことに加えて、物件価格の「底打ち感」の広がりがある。
不動産調査の東京カンテイによると、2013年2月の首都圏分譲マンションの1平方メートルあたりの賃料は平均2534円(前月比0.0%)と、12年12月以降は横ばい基調で、落ち着いた動きとなっている。東京23区は3068円で前月比0.2%減、横浜市も2137円で同2.6%減と「12年12月の上昇以来、調整が続いています」(市場調査部・井出武氏)という。
その一方で、供給物件は増えていない。みずほ証券の石澤卓志氏は、「昨年後半からは景気悪化の影響で、ユーザーが(不動産を)買えない状況が続いていました。さらに消費増税の影響などを見極めたいとの思いもあって、デベロッパーは供給に慎重になっています」と指摘する。
不動産経済研究所が3月14日に発表した2月の首都圏マンション市場動向によると、発売戸数は3491戸で前年同月に比べ10.9%減った。前年を下回るのは6か月連続。ただ、売れ行きは堅調で、契約率は76.4%と販売の好不調を分ける70%を回復している。前月比7.2ポイント増、前年同月に比べると1.1ポイント増と急回復している。
いまはまだ、株高や給与・所得の増加期待などの「ムードだけが先行して売れている」状態。前出の石澤氏、井出氏ともに、「住宅ローン控除などの減税措置が固まって、実行されてくると、国内の購入意欲は高まってくるのでしょう」とみている。