「一時休止していた本職のつぶやきを再開いたします」―――「警視庁犯罪抑止対策本部」というものものしい名称にそぐわない「ゆるふわ」なツイートが人気の、公式ツイッターアカウントが再開した。
「休止宣言」からわずか4日。新たに明かされた、再開までの経緯が感動的だとインターネット上で話題を呼んでいる。
「たった3日で我慢できなくなるとは、どれだけツイ廃なのでしょうか…」
犯罪抑止対策本部の公式ツイッターアカウントは2011年11月に開始。
「(本日のお茶請けは、くるみゆべしでした。くるみも栗や干し芋に並ぶ好物です。お茶は、レモン&はちみつのフレーバーティです…)」
犯罪情報などにあわせて、こんな「本職」こと担当者の日常がかいまみえる、微笑ましいツイートが人気を博し、フォロワーは2万人近くまで増加していた。
13年3月4日、「警察広報のスタイルを破る新たな実験でしたが、本職ひとりでは力不足でした」「制約された条件の下で継続する可能性もありましたが、ツイッターを利用するメリットをすべて減殺するような条件の下では、継続する意味を見いだすことができませんでした」と何かしらの圧力があったことを臭わせ、惜しまれながら終了を宣言した。
あまりの唐突さに、担当者は首になったのか?などと心配する声もネットの一部では出ていた。
ところが4日後の8日、「本日、一時休止していた本職のつぶやきを再開いたします。啓蟄を過ぎてしまいましたが、短い冬眠から覚めました。皆様からのご声援並びにご支持が再開の原動力でした。また、再開に当たり、上司の強力なサポートをいただくことができ、警視庁の懐の深さを改めて認識いたしました」「たった3日で我慢できなくなるとは、どれだけツイ廃なのでしょうか…」とツイートを再開。今後は「本職乙」と「本職甲」の2人体制で運用していくことも公表された。
フォロワーからは、「素晴らしい!おめでとうございます。これからも楽しみにしております」などと歓迎が相次いだが、一部には喜びつつも早すぎるのではといぶかしむ声もあった。
「公の媒体で個人的な発言をするなどけしからん」と批判受け
「この動きにより多くの方にご心配やご不便をおかけしたことをお詫びいたします。担当として休止から再開までの経緯を明らかにする必要があると考えました」
そして12日、復帰の裏側を本人が明かした。
それによると警視庁では従来、ツイッターをはじめとするSNSを広報媒体として活用するということは想定されていなかった。
「本職のつぶやきは、従来の警察広報スタイルから見れば『公の媒体で個人的な発言をするなどけしからん』ということになります」
実際に、こうした批判が内外から出ていたという。そのため、対応した規程やルールが存在しない状態で、つぶやきを継続することは妥当でないという判断に至った。
ところが、休止のうかがいを立てた際上司から「ひとりで辛い思いをさせてすまなかった」と声をかけられた。これが「再開を決意させる大きな力となりました」。
「この人は分かってくれている。この人の下でならまだやれる」と思ったこと、そして、休止を宣言してから再開を望むリプライやメールが多数寄せられたこともあり、「再開する」と腹が決まったそうだ。
担当者は再開に向けた検討会で上司が発した言葉を、「至言だと思います」として、紹介している。
「ツイッターは公のアカウントであっても担当者個人のメディアだと思っている。ただし、担当者個人に責任は負わせない。担当者が代わって後を継ぐ人がいなければやめてしまってもいい」
再開にあたっては、ツイッターの運用に関するルールを定め、運用ポリシーを変更。「担当者の発言の性質」として「担当者の発言は、警視庁としての公式見解、方針等を示すものではなく、担当者の日常における経験、感想等を述べるものとする」と明示した。ツイッターの即時性と機動性を活かすため、モバイル環境からのつぶやきも可能となったという。