正式表記は凄く長い
いっそ国も、そろそろ教皇にしていいのでは? 外務省に尋ねてみたが、
「どちらも日本語としては一般的に使われていますし、こちらとしてはずっと公式に使ってきたものなので……」
と煮え切らない。なおネットなどでは教皇の「皇」の字が「天皇」に通じるため遠慮して法王を使っているのでは、という説もあるが、外務省では「初耳。スペインなど、王制の国の王位継承者を『皇太子』と呼んでいるぐらいですから、勘違いでは」。
ちなみに教皇にしても法王にしても、日本などでしか使われていない一種の「意訳」だ。正式には、以下のような長い肩書きを名乗っている。
「ローマの司教、イエス・キリストの代理者、使徒たちのかしらの後継者、普遍教会の最高司教、イタリア首座司教、ローマ管区首都大司教、バチカン市国元首、神のしもべたちのしもべ」
一般には父を意味する「パパ(Papa)」と呼ばれ、日本でも戦国~江戸初期には、神父を「パードレ」と呼んだ要領で、西洋式に「パアパ(パッパ)」としていた(どちりな・きりしたんなど)。江戸中期の儒学者・新井白石が「教化之主」(本来は釈迦など高僧の意)と記した例もある。それと比べれば、教皇も法王も比較的新しい呼び方のようだ。