沖縄県・尖閣諸島をめぐり、中国が仕掛けてきた。尖閣に測量隊を派遣するというのだ。中国当局による「尖閣上陸」となれば、日本政府はどう対処するのか。事態がいっそう深刻化するのは間違いない。
中国側の「本気度」は不明だが、中国事情に詳しい専門家に聞くと、中国の国会に相当する全国人民代表会議(全人代)が終了する2013年3月下旬に「何かが起きるかもしれない」と注視しているという。
人民解放軍すぐ動くなら「もっと予算増えているはず」
「適当な時期に釣魚島(尖閣諸島の中国名)に測量隊員を上陸させ、測量のための標識を設置する」
2013年3月8日、全国政治協商会議でこう話したのは、国家測絵局副局長の李朋徳氏だ。12日には中国国営ラジオで同様の発言をしたという。ただ具体的な実施時期は言及しなかった。
民間の活動家による尖閣上陸は、過去に何度か例がある。最近では2012年8月、香港の活動家らが魚釣島に不法に上陸。入管難民法違反の疑いで逮捕され、後に強制退去命令が下された。これは民間人による抗議行動だが、測量隊派遣となれば当局の「お墨付き」を背景に島への上陸を試みることになる。日本政府は対応に苦慮するに違いない。
実は中国では2009年に測量プロジェクトが始まり、第2期プロジェクトには尖閣も対象となっていた。「中国『反日デモ』の深層」はじめ、中国関連で多数の著書があるジャーナリストの福島香織氏はJ-CASTニュースの取材に、「本当に測量隊が派遣されるかどうかは分かりません。ただ、全人代閉幕後の3月下旬以降に尖閣がらみで何らかの動きがあるかもしれない、という話は耳にしています」と明かす。
こうなると日中間の軍事衝突という最悪の事態が懸念されるが、その心配はひとまずなさそうだ。「強軍化路線」を歩む中国だが、仮に人民解放軍がすぐに動く態勢を整えるとすれば「軍関係の予算がもっと増えているはず」と福島氏。実際はそこまで大幅に増額されてはいないという。
軍の大物で劉少奇・元国家主席の息子の劉源氏は3月11日付の香港紙「星島日報」の記事の中で、尖閣問題は日中間の「メンツの問題」であり「軍事的な解決を図る必要はない」と述べている。劉氏は習近平総書記とも近しい間柄。「日中開戦」の雰囲気を戒めるための発言と見る向きもある。