原発を再稼働せずに電力需要はまかなえる
―― 短期的に見ても、原発を再稼働せずに電力需要はまかなえるのですか?
槌屋 動かさずに済む方法は沢山あります。ビルでも家庭でも、効率の良い機器を普及させることで電力使用量は半分ぐらいに下げることができます。家庭用にLEDを配布するとか、新しい効率の高い冷蔵庫を買うのにインセンティブ(補助金などの動機づけ)をつけるとか…。
最近のゼネコンが建設するビルは、エネルギー消費量が従来の半分~3分の1にまで減少しています。技術があるのは分かっている訳ですから、それが普及するように法整備などの手を打つことが必要です。
―― 震災後2回も、消費電力が増える夏のシーズンを経験して、「節電はもう限界」という実感を持っている人も多いのではありませんか。
槌屋 「乾いたぞうきん」説は、嘘ですね。国際的に見て、日本は産業部門では効率化が進んでいますが、家庭用やビルは決してそうではない。照明、電気冷蔵庫、エアコン、PC、沢山あります。省エネで電力消費量を減らして、太陽光や風力を増やしていけばいい。
―― この2年間で、「メガソーラー」(大規模太陽光発電所)という言葉が注目されるようになりました。
槌屋 太陽光は、この1年間で非常に増えています。太陽光発電協会の発表によると、12年10~12月の太陽電池の国内出荷量は前年同期比2.5倍の100万3200キロワット。前四半期にあたる12年7~9月期と比べても60%増えています。年率換算すると400万キロワット。これは、12年7月に再生可能エネルギーでつくった電力を固定価格で全量買い取る制度が始まったことが背景にありますが、技術の進歩を加味すると、1年間に5~600万キロワットはいけるのではないでしょうか。日本では、風力は300万キロワットぐらいしかありませんが、これも同様に3~4年でぐんぐん増やす。産業の育成にもなるし、地域活性化にもつながります。それぞれの地域にもお金が落ちます。道路建設の代わりの公共事業としても有効だと思います。