負け続きも「佐々木則夫監督の計算通り」
サッカージャーナリストの後藤健生さんは、なでしこに負けが込んだ理由をこう分析する。
「新しい選手を入れてチームを作り始めたとき、うまくいかないのは仕方がないと思いますよ。対戦相手は、ユーロッパのリーグ戦をしているシーズン中ですから、まだシーズンオフのなでしことは完成度が違います。例えば、ノルウェー戦で、岩清水選手が相手選手のドリブルに寄せるのが遅れて1点目を失ったときは、まだ試合勘が戻っていなかったからです。岩清水選手の能力があれば、シーズン中なら防げたシーンだったと思いますね」
後藤さんは、むしろ佐々木則夫監督の計算通りにいっていると指摘した。
「格下のデンマーク戦に勝ったのは当然ですが、日本はパスも回るようになってきています。大儀見選手と妹の永里選手を2トップにするなど、新しく試してもいます。田中選手らの若手も思ったよりすんなりはまっており、W杯までには間に合うのではないでしょうか」
戦いを煽るテレビ中継については、苦言を呈した。
「監督はもっと試したいはずで、注目を浴びてやりにくいのでは。ぶざまな試合にはできないと、ベストに近いメンバーをそろえざるを得なくもなります」
ただ、後藤さんは、W杯まで2年間も注目される舞台がないことを懸念している。
「7月の東アジアカップは、男子と抱き合わせですので、アジアなどでもっと盛り上げる大会があった方がいいと思います。そうでないと忘れられてしまいますから。W杯は、前回の優勝があるので盛り上がると思いますが、最低で準決勝まで行かないと今度は本当に人気が落ちてしまうでしょう。ですから、それまでの国際試合を通じて、いかにベストな状態に持って行けるかがカギになりますね」