06年には、A級戦犯は「国内法的にいわゆる戦争犯罪人ではない」
安倍首相は06年10月の衆院本会議で東京裁判への認識を問われ、
「サンフランシスコ平和条約第11条により極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しており、国と国との関係において、この裁判について異議を述べる立場にはない」
と、裁判の結果を受け入れる姿勢を鮮明にしている。現時点でも、この見解を踏襲しているとみられる。ただし、同時期の予算委員会では、いわゆるA級戦犯について、
「国内法的にいわゆる戦争犯罪人ではない。遺族援護法等の給付の対象になっているし、いわゆるA級戦犯と言われた重光葵氏はその後勲一等を授与されている。犯罪人であればそうしたことは起こり得ない」
と述べ、近隣諸国から批判を受けた経緯もある。
今回の発言について、韓国メディアは現時点では事実関係を淡々と報じているが、左派のハンギョレ新聞は、安倍首相について
「『国内法上では戦争犯罪者ではない』と主張して論議を起こしたことがある」
と指摘した。米国については、3月12日(米国東部時間)時点では、ホワイトハウスや国務省も、特段の反応は示していない。
東京裁判をめぐっては、パール判事が「判決ありきの茶番劇」と裁判そのものを批判した上で被告人全員の無罪を主張している。検察側の証拠が弁護側の証拠よりも有利に取り扱われるなど、裁判の正当性に疑問を投げかける声も少なくない。