安倍政権の「呼びかけ」に応じて賃金を増やす企業や春闘で満額回答する企業が増えているなか、トヨタ自動車やマツダが2014年春の新卒採用をわずかながら増やす。
「大胆な金融緩和」と「財政出動」「成長戦略」の3本の矢で企業の収益機会を増やして「雇用や所得拡大を実現する」というアベノミクスだが、これも、その効果なのか――。
リーマン・ショック前のまだ半数にも届かない
トヨタ自動車は3月11日、14年春に入社する社員の採用計画を発表。事務職、技術職などの合計で1340人を採用する。13年春入社(採用実績)は1327人で、2年ぶりにわずかだが前年度を上回る見通し。
全体の約4割を占める技術職は12年度実績に比べて19人(4%)多い530人。エコカーなどの開発を促進する狙いがある。総合職にあたる事務職は9人(11%)増の90人で、業務職(一般職)は2倍の30人とする。
工場の生産ラインを担当する技能職は横ばいで500人。技能系の人材を育てるトヨタ工業学園への入学者数は30人(14%)少ない190人を予定している。
とはいえ、リーマン・ショック前の2008年度(2733人を採用)と比べて、まだ半数にも届かない。
一方、マツダは14年春の技術系、事務系、技能系の新卒採用人数を、合計で205人にする。13年春より約4割増やすが、12年3月期まで最終赤字が4年続いたため、抑制傾向は続ける。やはり、マツダもリーマン・ショック前より約8割少ない水準にとどまっている。
それでも、新卒採用の増加は2年ぶり。生産などにあたる技能系は145人で13年を60人上回る。開発などを担う技術系は50人、事務系は10人で、それぞれ前年比横ばいだ。
ホンダは2014年春の新卒採用人数について、「まだ確定していません」という。13年春入社(計画)は575人を予定。日産自動車も「まだ発表期日を含め、未定です」という。今春入社する新卒学生は技術系、事務系などの合計で414人になる。